ニワカ映画研究所

映画鑑賞にはまり始めてはや数年、、日々鑑賞した映画をニワカ知識なりにレビューしていくブログです。公開中のものから過去作も!面白い映画を探す参考にしてください。

【文化を守る人】 舟を編む

🎥舟を編む

 

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 今回は2013年公開の映画「舟を編む」のレビューです!

今作は日本アカデミー賞で最優秀作品賞をはじめ6部門の受賞、

他にも様々な賞を

キャストや監督、スタッフも多くの個人賞を得ています。

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監督は石井裕也

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川の底からこんにちは」他面白い作品を多数残している。

なんと満島ひかりの元夫である。  羨ましい…

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今作では史上最年少(30歳)で第86回アカデミー賞外国語映画部門日本代表作品にされた。

日本アカデミー賞では最優秀監督賞等を受賞した優秀な監督である。

 

原作は三浦しをん。「まほろ駅前多田便利軒」他様々な作品を残す。

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まほろ駅前」では実写化は今作と同じく松田龍平がキャスティングされている。

三浦しをんは独特な空気感や人物同士の関係性で

惹きつける作品が多いように思う。

その作風に松田龍平がマッチしているのだろう。

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メインキャストは

馬締光也役に松田龍平

林香具矢役に宮崎あおい

西岡正志役にオダギリジョー

他実力派俳優が名を連ねている。

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特に松田龍平の演技は素晴らしいを通り越して

えげつなさすら感じる。

キャラクターのもつ性格と松田龍平の演技プランが

非常にマッチしており、その人物としての

厚みがぐっと増している。

 

◯あらすじ

1995年

玄武書房で38年辞書一筋の編集者、荒木公平小林薫)が定年を迎えようとしていた。

荒木の仕事ぶりに惚れ込む辞書監修者の松本朋佑教授加藤剛)は引き留めようとするが、

「病気の妻を介護するため」という荒木の意志は堅い。

急遽、社内で荒木の後任探しが始まる。

めぼしい人材が見当たらない中、荒木の部下、西岡正志オダギリジョー)が

密かに社内恋愛で同棲中の三好麗美池脇千鶴)から

言語学部の院卒で変人と噂される馬締光也松田龍平)の情報を仕入れる。

名字の通り性格は生真面目だがコミュニケーション能力に著しく欠ける馬締は

社内でも浮いていた。

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一方で言葉に対する卓越したセンスを持ち合わせ、

「右」を定義せよという荒木の質問に合格。

松本が熱意を燃やす新しい辞書『大渡海『(だいとかい)』

の編纂を進める辞書編集部に異動となる。

 

以降『大渡海』の編纂を進めるなかで

人と関わるとはいったいどうゆうことか

恋をするとどんな感情になるのか

友情とは、尊敬とは

そして、言葉を紡ぎ、守るとは。

 

人として大切なことを学ぶ馬締。

 

どうしようもく流れるときの中で

成長した馬締は多くの出会いと別れのなかでいったい何を思うのか。

 

 

演技についてだが、

前述したとおり、今作は松田龍平の演技が本当に素晴らしい。

演じる馬締は何を話すにしても

「あ、、、」「あ、いえ、、」

と言葉が出ない。

猫のトラさんだけには饒舌なのだが。

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しかし、馬締の頭の中はそうではない。

彼の頭の中では、言葉が溢れ満ち満ちている。

それを相手の感情を慮り発言することができないのだ。

この頭でっかちさ、それでもって自信がなく、コミュニケーションが取れないという

社会不適合者感。

これが所作や目線の動き、声色や間、その全体に纏う空気までにも滲み出ている。

しかし、馬締は自分の意思を強く持つ人物である。

その芯の強さがその瞳から見て取れるのだ。

 

いやあ恐ろしい。とんでもないレベルの俳優さんだ。

他の俳優さんもかなりレベルの高い演技をされている。

宮崎あおいの神々しさも注目である。笑

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そして今作のタイトルでもある『舟を編む』とはどういう意味を持つか。

主人公達は「大渡海」という国語辞典を編纂しているのだが

この「大渡海」とは「(言葉の)大きな海を渡る」という意味が込められる。

「ら抜き」や「憮然」のように日々変化を遂げる日本語を解説する「今を生きる辞書」を目指すこの辞書は十年を裕に超える年数を編纂に要した、というシナリオだ。

 

言葉は、今当たり前にあなた達の目の前にある。

様々な情報を伝えるために。

 

我々は言葉を知り、学び、用いることで

人格を形成し、コミュニティを作り

日々の生活を創造しているのだ。

 

この「言葉」はつまり文化、カルチャーの根源の一部なのである。

言葉が人を、社会を、モノを、概念を

意味付けることで

それを組み合わせ創造する事が可能になる。

 

わかりやすい例で言うと、若者言葉がある。

「タピる」、「あげみざわ」、「よいちょまる」

意味不明に見えるこれらも

新たな概念を一つの言葉にすることによって

彼らのカルチャーを確立し、彼らはそれを共有することでコミュニティを形成している。

(これらは言葉と概念が相互作用的でありどちらが先か、と決定づける事は難しいが…)

 

反対にこれらの言葉を理解しない人々を排除する作用もある。

やはりこれも彼らのカルチャーを守るために必要な作用なのである。

大人達がこの言葉を理解するころには

そのカルチャーは廃れている事も多いだろう。

 

 

そして、新たに生まれる言葉があれば

消えていく言葉もある。

言葉は遥か昔に生まれ、書籍等で現存するものは

古典として研究をされてはいるが

やはりその言葉の意味、概念は完全に理解することはできず

現存していないものはもはや知ることすら許されない。

古語は言わずもがなその当時のライフスタイルやカルチャーから生まれたものであり

それを今を生きる我々には詳細まで知り得ることは難しいだろう。

 

つまりこの言葉達をまとめ守る事は

我々の歴史、文化を守る為に必要不可欠なのである。

 

 

その中で、国語辞典とは

この時代の流れにより流動的で

かつ膨大に溢れる言葉の大海原を

自身を見失わずに進むための道しるべとなるのである。

 

また国語辞典の編纂は

生まれては廃れていく言の「葉」を次々に編み修復し

大海を渡るための「舟」としての役割を担う。

 

そう、辞書編纂は「舟を編む」ことに

他ならないのである。

 

 

今作の登場人物達が如何に日本において文化的に貢献をしているか。

是非その意味を分かった上で

この作品を見ていただきたい。

 

果てしない年月がかかる辞書編纂をする人達はどの様に世の中を見ているのか。

 

そんな視点で今作を見ていただければ

何か見えるものも増えるかもしれない。

 

 

と言った感じで今回のレビューは以上です。

なんだか難しい事をツラツラと書いてしまいましたが

深く考えずとも見るだけで素敵な作品だと感じていただけると思います!

お時間ある方は是非…

 

 

 

 

 

 

 

【絶望の連鎖】セブン/SE7EN

🎥セブン/SE7EN

 

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今回はサイコサスペンスの傑作、「セブン/SE7EN」のレビューです!

今作は全米興行成績4周連続1位に輝いた大ヒット作でありかなり評価の高い作品です。

 


⚠️ネタバレを含みますので

まだご覧になっていない方で

前情報入れたくない人はブラウザバックお願い致します🙇‍♂️

 

 

 

公開は1995年。

監督はデヴィッドフィンチャー

先日レビューした「ファイトクラブ」等様々な作品を残した監督である。

今作は、前作「エイリアン3」が不振に終わり

意気消沈していたフィンチャー

これは素晴らしい脚本だ!と惚れ込み

映像化したものである。

脚本はアンドリューケヴィンウォーカー。

セブンの脚本は彼がニューヨーク在住時感じた鬱屈した感情を元に書き起こしたものである。

 


キャストは

デビッドミルズ役にブラッドピッド。

妻ミルズ役にグウィネスパルトロー。

ウィリアムサマセット役にモーガンフリーマン。等…

 


ブラッドピッドは今作では田舎町から都会に配属された新米刑事を演じる。

この刑事は若手ならではのエネルギーとパッションに溢れ、理性でなく感情で動こうとする。

その若さ、危うさを巧妙に演じ切っており

クライマックスの苦悶と激怒の入り混じった表情は映画史に残る凄まじさを感じる。

 

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グウィネスパルトローといえば、アイアンマン

トニースタークの秘書兼妻のペッパーポッツ役としても有名である。

今作もその美貌と、若干の幸薄さ…が演技のいいアクセントになっている。

 

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モーガンフリーマンは私の中ではやはり「ショーシャンクの空に」のイメージが強い。

今作では還暦間近の敏腕老人刑事を演じる。

思慮深く理性的で、その瞳はこの世への絶望に満ちている。

この役はモーガン・フリーマンのもつスキルやキャリアが無ければ

演じ切ることは難しかっただろう。

 

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雨の降り続く大都会。

退職まで残り1週間と迫ったベテラン刑事サマセットと血気盛んな新人刑事ミルズは

ある死体発見現場に急行した。

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死体は信じられないほど肥満の男であり

彼は食べ物の中に顔を埋めて死んでいた。

死因は食物の大量摂取とその状態で腹部を殴打されたことによる内臓破裂

 

状況から、何者かによって手足を拘束され、銃で脅されながら食事を強制されていたことが判明し、殺人事件と断定される。

 

サマセットは死体の胃の中から発見されたプラスチックの破片から

現場の冷蔵庫の裏に、犯人が脂で書いたと思われる「GLUTTONY(暴食)」の文字と

事件の始まりを示唆するメモを発見する。

 

次の被害者は強欲な弁護士のグールドであり

彼は高級オフィスビルの自室で血まみれになって殺されていた。

 

死体はちょうど贅肉の部分を1ポンド分切り落とされており

状況から犯人は2日かけて被害者にどこの肉を切るか選ばせていたと推定された。

 

現場には被害者の血で「GREED(強欲)」の文字が残されており

サマセットは、犯人が「七つの大罪」をモチーフにして殺人を続けていると判断する。

 

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以降毎日計画的且つ猟奇的に惨殺された死体が見つかり

その現場には同じく七つの大罪に関連するメッセージが残される。

 

サマセットの推理から一度は犯人の居場所を突き止めるものの

取り逃がす二人。

「七つ」のうち残りが後二つに迫ったところで

犯人からメッセージが送られる。

 

サマセットとミルズのみに次の死体のありかを教える。そこまで連れていけ。

 

何かある、罠だ、と分かったうえで犯人を現場に連行する二人。

そこで二人は究極の選択を迫られることになる。

 

 

 

 

今作で重要なキーワードとなる「七つの大罪」。

七つの大罪とはキリスト教カトリックにおける概念で

堕落した人間が犯すとされる“全ての罪の根源となるもの”のことだ。

カトリックでは「罪源」と呼ばれ、罪そのものというよりも、罪を誘発する悪しき習性といった方が近いだろう。

罪を罪として意識しにくい故に、神への甚だしい冒涜となるのだ。

・嫉妬(envy)

他人の幸福を妬み、他人の不幸を喜ぶ感情。

・高慢(pride)

過度に自惚れていること。美徳とされる「謙遜」の真逆の状態。

・怠惰(sloth)

元々は安息日に関わらず労働を続けることを指していたが、現在では労働を放棄して怠けていることを指す。

・憤怒(wrath)

人間の最もネガティブな感情のひとつ。怒りは理性を破壊し、魂の中に悪魔を迎え入れることだとされている。

・強欲(greed)

金銀など財産に対しての異常な物欲。聖パウロは「一切の悪事の根なり」と説いたとされる。

・肉欲(lust)

色欲、邪婬ともいう。子孫繁栄のためではなく、みだらに性的快楽に陥ることは禁忌とされる。

・暴食(gluttony)

もしくは「大食」。節制のない食事は、欲望を助長させる根源となる。

 

 

我々は日々の暮らしの中でこの七つの大罪を犯してはいないだろうか。

 

犯人はこの神への冒頭にあたるこれらの罪を犯す人々をターゲットにしていく。

 

そして最後は自身をもその罪を犯したとし

死ぬことを選ぶ。

 

その罪は嫉妬。

ミルズへの嫉妬である。

ミルズの家庭を羨み犯人は遂に取り返しのつかない犯罪を犯す。

 

 

ここでミルズは究極の選択をする。

犯人を殺すか、

犯人を生かすか。

 

犯人を殺すことは恨みを晴らし、仇を討つことができるものの

犯人の策略に全てハマることになってしまう。

しかし生かせば……

 

 

「おお!神よ!」

 

悶え、叫び、苦しみ、葛藤し、激怒するミルズが

出した結論とは…。

 

フラッシュバックする幸せ。

 

ミルズは全ての感情を捨て去り

正義を執行することを選んだ。

 

 

サマセットにはもう止めることすらできなかった。

 

 

 

サマセットはミルズとは正反対の

理性的判断のできる人間である。

様々な分野に精通し、今回は犯人が傾倒する

宗教的思想を調査し理解することで推理を進めた。

ミルズは自分に、世界に希望を見出しているものの

サマセットは反対に世界の不条理さに絶望をしている。

そしてサマセットはミルズとは反対に性悪説的な思想を待つ。

 

そのためサマセットは、犯人を調査する中で

ある種共感できる何かが見えていたのではないだろうかと感じる。

 

しかし彼自身、まだこの世には戦う価値がある、

と考えているからこそ正常に立ち振る舞うことができているのだろう。

 

 

 

例え行きつく先が絶望だとわかっていても

人は生きていかなければならないのだ。

 

 

 

さて、今作では映像技術の一つとして

「銀残し」という手法が用いられている。

 

銀残し(ぎんのこし)とは、フィルムや印画紙での現像手法の1つ。

本来の銀を取り除く処理をあえて省くことによって

フィルムや印画紙に銀を残すものである

 

この作業により映像の暗部が非常に暗くなり

画面のコントラストが強くなるので

引き締まった映像になる。

また、彩度の低い渋い色にもなる。

 

この手法は日本で生まれたものであるが

これまで世界中に広く使われた。

 

私が「銀残し」と聞いて思い出すのは

1999年TBSにて放送のドラマ「ケイゾク」である。

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このドラマはのちに「SPEC」として続編が制作された。

恐らくケイゾクはこの「セブン」の影響を大いに受けていると考えられる。

未視聴の方は是非一度見ていただきたい。

 

コントラストの強い映像に、ノイズを用いたサウンド、シリアスかつダークな雰囲気。

そしてフィンチャーお馴染みのサブリミナル。

 

「セブン」フィンチャーの魅力がこれでもか!と詰まったボリューミーな作品となっている。

 

 

と言った感じで今回のレビューは以上です!

いや〜デヴィッドフィンチャーはやっぱり面白いですね〜。

人の根底にズシっとのしかかるメッセージを残してくれる作品は見た人を豊かにさせていきますよね!

何度見てもいい映画です。

お時間ある方は是非…

【孤独な愛】ロケットマン

🎥ロケットマン

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今回8月23日を皮切りに現在絶賛公開中の「ロケットマン」のレビューです!

 

既にご覧になっている方もそうでない方も読んでいただける内容になっておりますのでご安心下さい。

 

 

 

監督はデクスター・フレッチャー。

 

そう、あの紆余曲折あった「ボヘミアンラプソディー」を完成にまで導いた

力のある監督である。

 

今回の「ロケットマン」は前作ボヘミアンラプソディーと同じく伝記映画ではあるものの

ミュージカル映画として制作されている。

 

そのため時系列的がズレている場面は多いにあるのだが、監督曰く

「そのことは知っていたが、私が注意しているのは、物事の瞬間を映画的かつ音楽的にとらえることにあります」

などと釈明し、物語の展開や演出においての細かな時系列は重視していないとの考えを示している。

 

 


今作はエルトンジョンの伝記映画であるため

そのファンとしては見過ごせない部分ではあるとは思うが

これはボヘミアンラプソディーでも同じく問題に挙げられていたもの。

 

この問題は一旦置いておいて

エルトンジョンを深く知らない一映画ファンとしてレビューをしていきたい。

 

 


キャストはエルトンジョン役にタロンエガートンが。

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キングスマンでお馴染みの彼だが、

今作では一転イケてないメガネのロッカー役を演じている。

ボヘミアンラプソディーでは歌パートは別のキャストが声を当てていたが

なんと今作ではタロンエガートン本人が全編

歌い上げている。

彼によるエルトンのパワフルな歌声の再現は見所の一つである。

 

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〜以下あらすじ〜

※全く前情報を入れたくない方は飛ばして下さい!ですが重要部分のネタバレはありません!

 


幼いレジー少年は父からも母からも愛されない孤独な少年であった。

家庭が冷え切っているのは自分のせいだ。

次第にそう考える様になっていくレジー少年。

彼には唯一ピアノの才能があった。

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王立音楽学院へ推薦入学する彼は

ピアノの才能の着実に伸ばしていくなかで

母の再婚相手の影響から

ロックンロールに目覚める。

エルヴィスプレスリーのような髪型で

ピアノをかき鳴らす。

青年になったレジーはバンドメンバーと共に黒人シンガーのバックバンドとしてスカウトされる。

そこではソウルに興味を示すレジー

 


ソウルシンガーになりたいレジーは黒人アーティストにその旨を相談すると

「自分で曲をかけ」とアドバイスされる。

 


そこから彼の作曲家、シンガーソングライター、エルトンジョンとしての人生が始まる。

天才的作詞家バーニーと共に曲を量産していく日々。

アメリカLAの有名ライブハウス、トルバドールでの鮮烈な全米デビューを皮切りに

爆発的に売り上げを伸ばすエルトン。

金銭的に、物質的には満足する彼だったが

彼はどうやっても手に入れる事のできないものがあった。

 


それは愛。

 


自分が本当に必要とされているか。

 


どれだけ有名になっても

どれだけ富豪になっても

満たされる事のない心の隙間。

 

 

 

それは彼自身の家庭環境や

セクシュアリティに起因するものであった。

 


永遠に叶う事のない愛。

永遠に受け止められる事のない愛。

 

 

 

酒とドラッグの果てに彼は何を見るのか。

 


〜あらすじは以上です〜

 

 

 

 


映画の感情を正直に言うと……

 

 

 

惜しい……平凡。      である。

 

 

 

ボヘミアンラプソディーがあまりにも素晴らしい出来であったため

期待値が跳ね上がっていたのも原因の一つである。

 


しかし…

 


ファンムービーの域を出ていないと感じる部分が多々ある。

 

 

 

まず、シナリオについては

説明不足なシーンが各所に見受けられ

人物、主にメインのキャラクターの

感情の深掘りが出来ていない。

 


エルトンジョンを知らない観客にとっては

 


彼の側に立つ、感情移入するというよりも

なんだか彼が勝手に堕ちていく様を

見せつけられているようにも感じられるだろう。

 

 

 

字幕表記についても言いたい事がある。

 


和訳、しっかり載せてくれ。

 


字幕版だと歌パートは和訳字幕が出ず

その歌が一体何を歌っているのか殆ど伝わってこない。

重要なシーンでは表記されるが。

 


これは私の予習不足だと言われても仕方ないが

多くの若い観客達はエルトンジョンを深く知らないままに観にいくだろう。

その大衆を置いてけぼりにしてはいけない。

 

 

 

何をしているのか、何を伝えたいのかしっかり解らせるのは字幕の役目だ。

 


翻訳家の怠慢でこの映画の価値はガクンと落ちている。

 

 

 

そんな調子なのだが、

タロンエガートンの役作りに関しては賞賛を送りたい。

 

エルトンジョンのだらしなさのあるボディーの再現からすきっ歯まで。

果てにはその歌声すらも再現している。

 

演技についてはラミマレック程の魅力はないものの

エルトンの堕ちていく様がよく表現されていて、その時点で十分に役目を果たしている。

 

 

 

そんな感じで、この映画は要予習!である。

エルトンジョンについて知らなければ

 


「一体なんだったんだこれは…」

 


となる可能性も否めない。

(私はある程度予習はしていたので助かった)

 

 

 

それでも、最後に流れる「I'm still standing」は

彼の波乱続きの人生をバックボーンにすることで

より厚みを増し、更に名曲となっている。

 

 

 

音楽好きの方は必見であるだろう。

 

 

 

 


といった感じで今回のレビューは以上です。

はじめてこんなに否定的なレビューをしましたが

随所で感動し泣きそうになったのも事実です。笑

大傑作ではありませんが面白い映画です。

お時間ある方は是非…

【資本主義社会に叩きつける傑作】ファイトクラブ

🎥ファイトクラブ

 

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今回は1999年公開の「ファイトクラブ」のレビューです。

 

あのデヴィッド・フィンチャー監督の代表作の一つであるとともに

問題作、衝撃作であるといえるこの作品について今回は語ります。

 

 

デヴィッド・フィンチャーといえば他にも

「セブン」ドラゴンタトゥーの女」「ベンジャミンバトン 数奇な人生」

といった作品を残した有名な監督である。

 

今作を既に観ている人には笑える小話を一つ。

 

今作のテーマは「資本主義社会へのアンチテーゼ」であるが、

制作にあたり、あの手この手のプレゼンやフェイクを駆使し

20世紀フォックス側からなんと6300万ドル、日本円にして約70億という

とんでもない予算を引き出すことに成功している。

 

資本主義を嘲笑する映画の製作費として

資本主義の権化ともいえるハリウッド・メジャーから大金をせしめた、

という制作秘話ですらこの映画の価値を底上げしている。

 

 

 

メインキャストは親日家としても有名なエドワードノートン

あの超有名俳優ブラッドピットである。

 

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エドワードノートンといえば、個人的には「ハルク」のイメージが強い。

MCU版ハルクが後にマーク・ラファロに変わってしまったときは落胆した(今やどちらも大好きだが)

 

ブラッドピットはこれまで演じてきた役の中で今回のタイラー役が

もっとの魅力的なのではと感じるほどハマっている。

セクシーで、暴力的で、狂気的で。

それなのに人を導くエネルギーに溢れている。

それはキャラクターの人間性によるものも大きいのだが。

彼の肉体も惜しみなく披露されているので

女性ファンは必見だ。

 

 

 

主人公の僕(エドワードノートン)は自動車会社に勤務し

全米を飛び回りながらリコールの調査をする平凡な会社員。

 

自分の部屋は高級な家具や食器、ハイブランドの衣服が買い揃えられ

見た目には何不自由なく生活しているように見える。

 

物質的には何不自由ない生活を送る彼だったが

精神的には落ち着かず、不眠症という大きな悩みを抱えていた。

 

仕事のために飛行機で全米を飛び回る日々。

目を覚ます度に違う場所、違う飛行機、違う乗客。

僕は自分の隣に座る乗客を「一夜限りの友人」と考え接していた。

 

 

僕は医者に不眠症を相談すると「世の中にはもっと大きな苦しみを抱える人がいる」

と言われ、がん患者の集いを紹介される(主人公は癌ではない)。

 

この集いによって一時的に不眠症は回復するものの

マーラという女性の登場で再びその症状は悪化する。

 

 

そんなある日、出張から帰ると自宅のコンドミニアムが爆発事故にあい

全てを失う僕。

 

家を失った僕は飛行機で知り合った「一夜限りの友人」だった

タイラーダーデン(ブラットピット)に救いの手を求めた。

僕とはまるで正反対の彼はユーモアと「危なさ」に溢れた人物だった。

 

バーを出た後、タイラーは僕に奇妙なお願いをする。

 

 

「力いっぱい俺を殴ってくれ。」

 

 

僕と彼は一晩中殴り合った。

殴り合いの中で、その痛みのなかで

生きていることを実感する僕。

 

それから何度も殴り合いをしていると

それに興味を示した人たちがポツポツと集まり参戦しはじめ、

次第に大きな集まりと成っていく。

 

 

そしてタイラーはこの集まりを「ファイトクラブ」と名付け

ルールを作っていった。

 

 

ルールその1、ファイトクラブのことは決して口外するな。

 

 

社会的地位に関係なく、武器も無く

素手でのタイマン。

 

ファイトクラブは、見た目の肉体の美しさでなく

純粋な「男」としての強さを競い合うものだった。

 

 

不眠を感じることもなくなり、顔は痣だらけでも充実していた僕だったが

少しづつタイラーとのすれ違いや性格に苛立ちを感じ始める。

そしてタイラーがファイトクラブのメンバーに「宿題」を

出し始めたころから、少しずつ何かがズレていく。

 

 

タイラーのもつ信念、資本主義社会はクソだ、というものが

実際に形になっていく。

 

 

果たして彼、タイラーはいったい何者であるのだろうか。

 

 

その正体が明かされたとき

まるでビルの屋上から飛び降りるかのように

まるで搭乗する飛行機が墜落していくかのように

観客はすべてが壊れ落ちていく感覚を味わうだろう。

 

 

まさに大どんでん返し。

全てが噛み合った瞬間、あなたが見ていたものはすべてが嘘になるのだ。

 

 

この映画は今社会に蔓延る常識をぶち壊し

「本当に生きるとはどういうことか」

デヴィッドフィンチャー的解釈を叩きつけられる。

お前はモノに支配されている。

いつか必ず死ぬという事を認識しろ。

 

あなたはその事を本当に気付けているだろうか…

 

 

 

この映画の特徴の一つとしてあげられるのは

あらゆる場面で張り巡らされたサブリミナル演出である。

 

タイラーの職業(ここでは映写機の切り替え)について説明するシーンがあり、

そこで「ファミリー映画にわからないくらい一瞬ポルノ映画を差し込む」

という変態的な趣味が明かされる。

 

これこそが所謂サブリミナルと言われるものだ。

 

人が感知できないスピードや、注目せずとも視界に入るところに

人に印象付けたい「何か」を入れ込み

それが視界に入っている人間の無意識化に情報を刷り込んでいく。

 

これはかつて戦時下における大衆心理の洗脳に使われた手法とも言われている。

 

コントロールされている人間は無意識化に「何か」を

刷り込まれているため、それに気付くことすらできない。

 

恐ろしく聞こえ、まるで別世界の話のように感じるかもしれないが

これはまさに今あなたの周りに起きている。

 

日々あなたが目にするテレビやラジオ、スマートフォンといった情報メディアや

新聞や雑誌、広告や教科書に至るまで

これらを作り、情報を与えている側の人間に都合よくコントロールされている可能性は

大いにあると考えてよい。

 

この記事を書いている私自身もコントロールされている人間かもしれないし

逆にコントロールしようとしている人間かもしれない。

 

 

そしてこの映画はこのサブリミナルを巧みに扱い

見ている人間に無意識に様々な情報を刷り込んでいる。

 

その代表が今作に登場するタイラーという人物についてである。

 

画面の端々に登場するタイラーに

観客は気づかぬ内にその人物像を刷り込まれ

その彼の人間性を表すもの(主に男性器等)を

無意識に印象付けられていく。

 

そう、あなたはコントロールされているのだ。

 

 

この映画は一回ではなく二回見てほしい。

二回目を見るときあなたは鳥肌の立つ映画体験ができるだろう。

まるで全く違う映画を見ているかのような感覚。

是非体験していただきたい。

 

 

といった感じで今回のレビューは以上です。

ファイトクラブ」、見たくなりましたか?笑

超おすすめ映画です。

お時間ある方は是非、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ハッピーになりたい貴方へ!】天使にラブソングを/SISTER ACT

🎥天使にラブソングを/SISTER ACT

 

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今回は1993年公開、アメリカでは異例のロングヒットを飛ばした名作コメディー、音楽映画「天使にラブソングを」のレビューです!

 


この映画、そういえば小学生の頃音楽の先生が授業中に見せてくれたなぁ〜。

 


ご存知の方も多いであろうこの映画について今日は語ります。

 

 

 

メインキャストはウーピーゴールドバーグ。

この作品をキッカケにウーピーの人気は不動のものとなった。

 

他にも修道院長役にマギースミスが。

 

この名前は知らなくても、ハリーポッターのマグゴナガル先生だと聞くとわかる人もいるのでは?

 

他にも個性的で魅力的なキャストが出演している。

 

 

 

しがないナイトクラブの歌手のデロリス。

 

恋人関係のマフィアのボスはいろいろ与えてくれるものの

本妻のお下がりのものであったりと、ぞんざいな扱いに不満を覚えていた。

 

ある日そのマフィアのボスの殺人現場を目撃してしまい

一転マフィアに命を狙われることとなる。

 


警察はデロリスの保護を目的とし

修道院にシスターとして身を隠すことを提案する。

仕方なくその提案を受け入れるデロリスだったが

シスターとしての生活は彼女には全く合わない。

 

日々の生活にストレスを感じる中

その修道院聖歌隊に入ることとなる。

 

元歌手のデロリス。

その聖歌隊のあまりの酷さに驚くも

遂にその聖歌隊の指揮者となる。

 


そこからデロリスの本領が発揮される。

聖歌隊メンバーのボイストレーニングから

メンタルトレーニング、ポジションの組み直しなどなど…

 


着実に力をつけていく聖歌隊

次第にその聖歌隊は人気になり、聖歌を聞こうと教会へと足を運ぶ人がどんどん増えていく。

 

しかし修道院長は保守的であったため

レベルはあがったものの

曲をアレンジしたり、ダンスも取り入れるデロリスのやり方に反対していた。

 

シスターたちも始めは困惑していたが

歌を通じてデロリスを慕い、絆が生まれていく。

 

 

 

聖歌隊の人気と相まって

遂にはローマ法皇の御前でのショーが決定したが

マフィアに居場所がバレてしまい

連れ去られるデロリス。

 

修道院にもそのことが伝わり

同時にデロリスの身分も明かされてしまう。

皆が戸惑い慌てる中

デロリスを助け出す決断をしたのは修道院長だった。

 


果たしてシスター達はデロリスを助け出し

無事に歌を披露することはできるのだろうか…

 

 

 

 


この映画、本当に見てて幸せになれる。

誰もが根っこに抱える劣等感、自信のなさも

努力とパワーとハッピーで乗り越えられる。

そこには常識の型にはまっている必要はなく

自分が楽しいと思えるやり方をする。

そうすることで幸せになれる。

こんなアドバイスをもらえる映画だ。

 

 

 

コメディー要素もふんだんに含まれており

時折クスッと、また声をあげて笑ってしまうような

シーンが盛りだくさんだ。

キャラクター達も魅力的で惹きつけられる事間違いなし。

 


更にサウンドも素晴らしい。

誰もが一度は耳にしたことがある歌達を

よりポップでショーアップしたアレンジがされており

今の私達が聞いても色褪せない魅力がある。

 

 

 

 


と、今日はこのくらいで!

少し内容は薄めですが……

 


この映画ホントにすきなんですよね〜笑

 


いい映画探してますよって方、

お時間あれば是非……

 

 

 

 

【時をかける黒服】MIB(メンインブラック)3部作

🎥メンインブラック3部作

 

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今回は大人気SFアクション映画「メンインブラック」3部作のレビューです!

 

最近新たに「メンインブラック・インターナショナル」か公開されました!

まだ過去作をご覧になっていない方に

是非このレビューを見て、鑑賞していただきたいと思います。

 

 

 

メンインブラックといえばやはりこの2人。

エージェントK役にトミーリージョーンズ

エージェントJ役にウィルスミス。

 


この2人は映画好きの人でなくてもご存知だろう。

トミーリージョーンズといえばBOSS缶コーヒーのCM。

このCMではトミーリージョーンズは宇宙人役だが、

今作では宇宙人を取り締まるエージェントとして活躍する。

 


ウィルスミスといえば…

最近でいうとアラジンのジーニー役でも話題になったが、

俳優としては世界的に有名な内の1人である。

過去にはラッパーとして活動していたこともあり、多彩な才能を持つ人でもある。

 

 

 

 


ニューヨーク市警の敏腕刑事、ジェームズ。

陽気な性格ながらもあまりの能力の高さに

周りからは煙たがられていた。

 


いつもの如く逃走する犯人を追いかけているとなんとその犯人は宇宙人であった。

同じくその犯人を追っていたエージェントKはジェームズのタフネスに惚れ込み

エージェント組織、メンインブラックにスカウトする。

 


メンインブラックとは宇宙との外交や渡航する宇宙人の管理、宇宙人の犯罪などを取り締まる秘密組織である。

 


ジェームズはその組織の存在、組織が持つ兵器などの技術力に驚き歓喜するも

一人前になるまではまともな銃も持たせてもらえなかった。

彼に与えられたのは、Jというコードネームと

全身黒のスーツ、そして幼児用おもちゃのような小さな対宇宙人用の銃だった。

 


以降シリーズを通してKとJが

宇宙絡みの事件やトラブルに半ば巻き込まれるようにして

捜査し解決していく。

 


地球の平和は彼らの命がけの戦いによって

守られているのである。

 


そして第3作目で遂にKが

若い頃自身が捕まえ幽閉していた凶悪殺人犯によって存在を消されてしまう。

 


Jはとあるマシンを使い過去に戻り

若き日のKとともに、彼を守るため戦う。

 


そこで明かされるKとJの出会いの秘密。

 


詳しい内容は是非3作目通して刮目していただきたい。

 

 

 

 


メンインブラックの魅力の一つは

笑ってしまうようなトンデモ科学力である。

 

謎に近未来的なデザインの兵器は

手のひらサイズのものであっても

簡単に車を吹き飛ばす程の破壊力がある。

 

また彼らメンインブラックの専用車両には

男のロマンと言える理想がドッサリ詰まっている。

 

変形、飛行、粋に収納された兵器。

 

他にも見ていてワクワクする見た目や仕掛けのものが

所狭しと画面を覆い尽くす。

 

更にあの「ピカッ」と光る記憶操作装置ニューラライザー。

これはもう彼らのアイデンティティとも言えるだろう。

 


もう一つの魅力は、宇宙人達のビジュアルである。

 

宇宙人は日頃一般人にはバレないよう擬態して生活をしている。

あまりに巧妙に擬態をしているためまずバレることはなく

むしろ人間のコミュニティの中でその能力を存分に発揮しているものもいる。

 

あのスティーブンスピルバーグ(今作の製作総指揮)やシルヴェスタスタローン、

エルヴィスプレスリー等も宇宙人であり

なんとマイケルジャクソンも宇宙人であるみたいだ。

 

街中にも我々が知らないだけで多くの宇宙人が

生活を営んでおり

その生態は様々である。

 


そしてこの作品最大の魅力は

KとJのバディー感、掛け合いの面白さにある。

 

有能で堅物なKといい加減で感覚的に考えるJ。

この2人の会話に2人の絆や年齢を超えた仲の良さ

 

揚げ足を取り合うも本当にお互いを思いやり行動する様が

見ていて笑えるし、泣けるのだ。

 

 

 

サウンドについてもカッコよくて洒落てて

ファンキーでもう言う事無しなのだが

 

全てのシリーズを通して見て

MIB3の後半のあの展開から

ビルの屋上のJとNYの風景……

 

からの「Empire State of Mind」!!!

 

最高すぎるでしょコレ!!

 

とMIBファンなら感動するはず。

 


実際私はここで号泣してしまった…。笑

 

 

 

この作品、昔からとても好きなんです。

あのロマン溢れる世界観が本当にワクワクするんですよね。

そしてこの作品は3部作通して見て欲しい!

むしろ3作目全て合わせて一つの作品だとと思って欲しいくらいです。

全部見るのには少々時間はかかりますが…

週末にゆっくりとご鑑賞してみてはいかがでしょうか。

食べ物は用意しない方がいいかも……笑

虫が嫌いな人は注意して下さいね。

 

【対話と理解の先に】グリーンブック

🎥グリーンブック

 

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今回はアカデミー賞作品賞を含む3部門を受賞した話題作「グリーンブック」のレビューです!

 

日本では2019年3月に公開されており

その時に鑑賞した記憶を呼び起こしながらレビューします…笑

 

 

 

ロードオブザリングで一躍有名になったウァゴモーテンセン

超人気俳優マハーシャラアリをメインキャストとしている。

 

タイトルの「グリーンブック」とは

当時の黒人旅行者、ドライバー向けの宿やレストラン、ガソリンスタンドなどが記されたガイドブックから来ている。

 


舞台は1962年アメリカ。

 


ナイトクラブの用心棒をしている白人トニーは

自身の働くクラブが改装工事のため閉鎖されてしまう。

 

特別裕福でもないトニーはその間の仕事を探す中で

あるピアニストのツアードライバーの仕事を紹介される。

 

その面接場所に行き、出会った依頼人はドクター・ドン・シャーリーだった。

 

ドンは黒人。アフリカ系アメリカ人である。

 

白人主義で粗暴な性格のトニーは驚き戸惑いつつも

収入のため仕方なくドライバーの仕事を受け入れるのだった。

 


黒人で平和主義的、規律や他者を思いやる事に重きをおくドンと

 

白人で白人主義的、荒々しく他人を顧みない行動をするトニー。

 

彼らはツアーの道中互いの価値観やライフスタイルの違いから衝突を繰り返す。

 


始めはドンを見下していたが

ドンの演奏に感銘を受けたトニー。

 

そしてそんなドンが黒人というだけで

演奏の依頼人や観客から酷い扱いを受けていたり

食事はおろか、宿や夜出歩くことすらも自由にすることのできない世の中に疑問を抱く。

 


ちなみに今作の舞台である1962年アメリカといえば

ジム・クロウ法がまだ施行されていた時期である。

※ジムクロウ法とは黒人の一般公共施設の利用を禁止する人種差別的州法である。

当時はアフリカ系黒人だけでなく

有色人種すべてが対象となっていた。

 


移動の道中や宿での互いの会話を通して

今までドンがどのように生き

どのように差別されてきたかを聞くことで

トニーは自身の価値観が少しづつ変化していく。

 


トニー自身、黒人というだけでバカにしてきた人達が

自分と同じようにそれぞれ個性があり

自分よりも優っている部分もある。

 

尊重されるべき1人なのだ、という事を

同じ白人達の行いを客観的に見る事で初めて気が付くのだ。

 


そしてドンも同じく粗暴で荒々しい、スマートでない人達を見下していた。

しかしまたドンもトニーと対話しお互いを理解することで

違う価値観の人達とも仲良くなることもできるのだと気づく。

 


人種など関係ない。

ただそのコミュニティの在り方によって

互いを知らず、理解することができていないだけなのだ。

 


これは人種だけでなく、日常生活でも言えることだ。

 


人は知らない人や知らない事は怖いと感じる。

だから新しい挑戦も億劫になるし

初めての人はと話すのも緊張する。

対して仲の良くない人の噂話を勝手にしては

その人の本質を見ずに勝手に思い込む。

 


まず必要なのは知ること。

そうすることで自分をアップデートしていくことが出来るのである。

そして他者を知ることが本当の平和へと繋がるのだ。

 

 

 

こういったメッセージをこの映画から受け取る事ができるだろう。

 

 

 

昨今日本では対韓、対中関係の摩擦のニュースがよく耳に入ってくるだろう。

我々がすべきことの答えの一つは

この映画にあるのではないだろうか。

 

 

 

 


という感じで今回のレビューは以上です!

なんだか真面目な感じになってしまいましたが……

見て、面白い!思える映画であることは間違いありません!

実際アカデミー賞とってますからね!笑

超名作で超おすすめです。

お時間ある方は是非……