ニワカ映画研究所

映画鑑賞にはまり始めてはや数年、、日々鑑賞した映画をニワカ知識なりにレビューしていくブログです。公開中のものから過去作も!面白い映画を探す参考にしてください。

【資本主義社会に叩きつける傑作】ファイトクラブ

🎥ファイトクラブ

 

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今回は1999年公開の「ファイトクラブ」のレビューです。

 

あのデヴィッド・フィンチャー監督の代表作の一つであるとともに

問題作、衝撃作であるといえるこの作品について今回は語ります。

 

 

デヴィッド・フィンチャーといえば他にも

「セブン」ドラゴンタトゥーの女」「ベンジャミンバトン 数奇な人生」

といった作品を残した有名な監督である。

 

今作を既に観ている人には笑える小話を一つ。

 

今作のテーマは「資本主義社会へのアンチテーゼ」であるが、

制作にあたり、あの手この手のプレゼンやフェイクを駆使し

20世紀フォックス側からなんと6300万ドル、日本円にして約70億という

とんでもない予算を引き出すことに成功している。

 

資本主義を嘲笑する映画の製作費として

資本主義の権化ともいえるハリウッド・メジャーから大金をせしめた、

という制作秘話ですらこの映画の価値を底上げしている。

 

 

 

メインキャストは親日家としても有名なエドワードノートン

あの超有名俳優ブラッドピットである。

 

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エドワードノートンといえば、個人的には「ハルク」のイメージが強い。

MCU版ハルクが後にマーク・ラファロに変わってしまったときは落胆した(今やどちらも大好きだが)

 

ブラッドピットはこれまで演じてきた役の中で今回のタイラー役が

もっとの魅力的なのではと感じるほどハマっている。

セクシーで、暴力的で、狂気的で。

それなのに人を導くエネルギーに溢れている。

それはキャラクターの人間性によるものも大きいのだが。

彼の肉体も惜しみなく披露されているので

女性ファンは必見だ。

 

 

 

主人公の僕(エドワードノートン)は自動車会社に勤務し

全米を飛び回りながらリコールの調査をする平凡な会社員。

 

自分の部屋は高級な家具や食器、ハイブランドの衣服が買い揃えられ

見た目には何不自由なく生活しているように見える。

 

物質的には何不自由ない生活を送る彼だったが

精神的には落ち着かず、不眠症という大きな悩みを抱えていた。

 

仕事のために飛行機で全米を飛び回る日々。

目を覚ます度に違う場所、違う飛行機、違う乗客。

僕は自分の隣に座る乗客を「一夜限りの友人」と考え接していた。

 

 

僕は医者に不眠症を相談すると「世の中にはもっと大きな苦しみを抱える人がいる」

と言われ、がん患者の集いを紹介される(主人公は癌ではない)。

 

この集いによって一時的に不眠症は回復するものの

マーラという女性の登場で再びその症状は悪化する。

 

 

そんなある日、出張から帰ると自宅のコンドミニアムが爆発事故にあい

全てを失う僕。

 

家を失った僕は飛行機で知り合った「一夜限りの友人」だった

タイラーダーデン(ブラットピット)に救いの手を求めた。

僕とはまるで正反対の彼はユーモアと「危なさ」に溢れた人物だった。

 

バーを出た後、タイラーは僕に奇妙なお願いをする。

 

 

「力いっぱい俺を殴ってくれ。」

 

 

僕と彼は一晩中殴り合った。

殴り合いの中で、その痛みのなかで

生きていることを実感する僕。

 

それから何度も殴り合いをしていると

それに興味を示した人たちがポツポツと集まり参戦しはじめ、

次第に大きな集まりと成っていく。

 

 

そしてタイラーはこの集まりを「ファイトクラブ」と名付け

ルールを作っていった。

 

 

ルールその1、ファイトクラブのことは決して口外するな。

 

 

社会的地位に関係なく、武器も無く

素手でのタイマン。

 

ファイトクラブは、見た目の肉体の美しさでなく

純粋な「男」としての強さを競い合うものだった。

 

 

不眠を感じることもなくなり、顔は痣だらけでも充実していた僕だったが

少しづつタイラーとのすれ違いや性格に苛立ちを感じ始める。

そしてタイラーがファイトクラブのメンバーに「宿題」を

出し始めたころから、少しずつ何かがズレていく。

 

 

タイラーのもつ信念、資本主義社会はクソだ、というものが

実際に形になっていく。

 

 

果たして彼、タイラーはいったい何者であるのだろうか。

 

 

その正体が明かされたとき

まるでビルの屋上から飛び降りるかのように

まるで搭乗する飛行機が墜落していくかのように

観客はすべてが壊れ落ちていく感覚を味わうだろう。

 

 

まさに大どんでん返し。

全てが噛み合った瞬間、あなたが見ていたものはすべてが嘘になるのだ。

 

 

この映画は今社会に蔓延る常識をぶち壊し

「本当に生きるとはどういうことか」

デヴィッドフィンチャー的解釈を叩きつけられる。

お前はモノに支配されている。

いつか必ず死ぬという事を認識しろ。

 

あなたはその事を本当に気付けているだろうか…

 

 

 

この映画の特徴の一つとしてあげられるのは

あらゆる場面で張り巡らされたサブリミナル演出である。

 

タイラーの職業(ここでは映写機の切り替え)について説明するシーンがあり、

そこで「ファミリー映画にわからないくらい一瞬ポルノ映画を差し込む」

という変態的な趣味が明かされる。

 

これこそが所謂サブリミナルと言われるものだ。

 

人が感知できないスピードや、注目せずとも視界に入るところに

人に印象付けたい「何か」を入れ込み

それが視界に入っている人間の無意識化に情報を刷り込んでいく。

 

これはかつて戦時下における大衆心理の洗脳に使われた手法とも言われている。

 

コントロールされている人間は無意識化に「何か」を

刷り込まれているため、それに気付くことすらできない。

 

恐ろしく聞こえ、まるで別世界の話のように感じるかもしれないが

これはまさに今あなたの周りに起きている。

 

日々あなたが目にするテレビやラジオ、スマートフォンといった情報メディアや

新聞や雑誌、広告や教科書に至るまで

これらを作り、情報を与えている側の人間に都合よくコントロールされている可能性は

大いにあると考えてよい。

 

この記事を書いている私自身もコントロールされている人間かもしれないし

逆にコントロールしようとしている人間かもしれない。

 

 

そしてこの映画はこのサブリミナルを巧みに扱い

見ている人間に無意識に様々な情報を刷り込んでいる。

 

その代表が今作に登場するタイラーという人物についてである。

 

画面の端々に登場するタイラーに

観客は気づかぬ内にその人物像を刷り込まれ

その彼の人間性を表すもの(主に男性器等)を

無意識に印象付けられていく。

 

そう、あなたはコントロールされているのだ。

 

 

この映画は一回ではなく二回見てほしい。

二回目を見るときあなたは鳥肌の立つ映画体験ができるだろう。

まるで全く違う映画を見ているかのような感覚。

是非体験していただきたい。

 

 

といった感じで今回のレビューは以上です。

ファイトクラブ」、見たくなりましたか?笑

超おすすめ映画です。

お時間ある方は是非、、、