ニワカ映画研究所

映画鑑賞にはまり始めてはや数年、、日々鑑賞した映画をニワカ知識なりにレビューしていくブログです。公開中のものから過去作も!面白い映画を探す参考にしてください。

【最高のクオリティ】この世界の片隅に【最悪の歴史】

 

皆さんご無沙汰しております。

ニワカ映画研究所です。

 

今回取り上げる作品はこちら!

 

『この世界の片隅に』

 

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公開されると同時に、口コミにて

動員数を大きく伸ばし

 

公開される劇場は少ないものの

各所でロングラン公演やリバイバル公演が

行われるなど

 

かなり評判の今作。

 

その評判を噂には聞いていたものの

何だか興味がわかず

これまで見ずにいた私。

 

アマゾンプライムで公開されていることがわかり

何の前情報も知らずに鑑賞したのですが、、、

 

 

「一体これは何なんだ、、」

 

作品のクオリティの高さ

度肝を抜かれ

しばらく呆然としてしまう私。

 

ようやく言語化できそうなほどに

落ち着いてきたので

レビューを始めます。

 

 

 1.監督

 

監督は片渕須直

 

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日本アニメーション界にて

様々な作品の制作に関わってきました。

 

以下片渕監督が制作に関わった作品を

たくさんの作品の中から

ざっとピックアップしてみます。

 

・名探偵ホームズ

・私のあしながおじさん

・トラップ一家物語

・ちびまる子ちゃん

・カードキャプターさくら

・忍たま乱太郎

・MONSTER

・かいけつゾロリ

・BLACK LAGOON

・魔女の宅急便

     etc、、

 

スタジオジブリの一員でもあった

片渕監督。

 

『魔女の宅急便』では製作途中まで

監督を務めるも、宮崎駿の復帰に伴い

演出補佐へと退いています。

 

また『BLACKLAGOON』では

監督、シリーズ構成、脚本も務め

片渕監督の代表作の一つと言えます。

 

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『BLACKLAGOON』でも存分に発揮された

武器マニア、軍ものマニア具合が

『この世界の片隅に』でも

様々な描写で生かされています。

 

2.キャスト

・北條すず/のん(能年玲奈) 

 

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今作は、のんちゃんの演技がとても素晴らしく

作品のクオリティーを何倍にも引き上げています。

 

日頃からおっとりした、

悪く言えば「とろい」すずさんが

 

理不尽な社会に徐々に押しつぶされ

自分を見失う様を

柔らかい声色の中に

リアルさももって演技しています。

 

のんちゃんの柔らかい声でなければ、

この作品はあまりにも

残酷になってしまいますし、

玉音放送後、家を飛び出し泣き叫ぶシーンは

日本アニメ史に残る

名演技と言っていいほど圧巻です。

 

北條 周作/  細谷佳正(ほそやよしまさ)

 

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これまで数えきれないほどたくさんのアニメ、映画吹替に

出演している超人気声優さんが担当します。

テニスの王子様の白石蔵ノ介を演じ、知名度を上げた後

様々な作品でメインキャラクターを務めます。

 

爽やかな青年から熱血漢、人間味の薄い少年など

演技の幅は広く、ナチュラルな芝居が持ち味だそうです。

 

・水原 哲/小野大輔(おのだいすけ)

 

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オノDの愛称で親しまれる、こちらも

超人気声優さんです。

 

出演作は数知れず。。。

 

殆どの作品でメインキャラクターを演じる

人気、実力ともに業界随一の方です。

アニメが好きな方は、必ずどこかで

聞いたことがあるはず!

 

他にも実力のあるキャスト達が

表現豊かに、かつナチュラルに

それぞれの人物を演じます。

 

 

3.あらすじ

 

1940年頃の広島周辺を舞台とした、

すずさんという一人の女性を主人公とした

半生を描いた物語。

 

 

広島市にて、物は豊かではないものの

楽しく暮らす浦野一家。

長女の浦野すず

おっとりした、マイペース

女学生でした。

 

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そんなすずが大好きなのは絵を描くこと。

瀬戸内の海のきらめきを

「白いうさぎが跳ねているよう」

表現する程色彩感覚も優れているすず。

 

すずの生活は他人に、周りに

流されるまま、飄々としています。

 

そんなすずにも転機が。

 

 すずに、顔も名前も覚えがない男性から

結婚の申し出があったのです。

 

突然の出来事でした。

広島市から呉市へ身を移すすず。

 

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嫁ぎ先の住所も知らないままやってきた

すずさんも、彼女なりにその土地で

必死に暮らしていました。

 

畑からみえる港に停泊する

戦艦たちを眺めるすずと夫の周作。

 

戦争とはなんぞやら、と生活していた

彼らにも戦火はすぐそこまで迫っていたのです。

 

 

配給される食材はどんどんと少なくなる中

それでも何とか工夫するすず。

 

おいし、、、くはなかったものの

その生活を受け入れ生きていました。

 

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姪の春子と畑にでていたある日の朝。

山の向こうで、

どん、どんという音とともに

勢いよく何本もの煙が立ち上ります。

 

立ち尽くすすずと春子

 

その上空を何機もの

戦闘機が迫ってきます。

 

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叔父の助けにより何とか逃げ延びたものの

それから呉は、寝ても覚めても

空襲警報のサイレンが鳴り響きます。

すず達は防空壕で空爆におびえながら

だんだんと憔悴していきます。

 

すずは身近な人の死

自身のケガどれだけ耐えようと

変えられない自分の人生や社会の理不尽

もう限界を迎えていました。

 

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原爆の投下、後に終戦。

 

自分たちとは関係のない出来事

自分たちを追い詰めていく

 

それでも御国のために、と

踏ん張ってきたはずが

これまたあっけなく終わりを告げる。

 

「私たちは国に支配され、次はアメリカに

支配されなければならないのか」

 

「暴力で支配してきた国は、暴力で支配

されなければならないのか」

 

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それでもすずは自分の幸せを探し

生きていくのです。

 

 

4.舞台となった「呉市」はどこ?

 呉市広島の南西部にあり、

瀬戸内海に面した港町です。

 

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瀬戸内海は自然災害が少ない

とても穏やかな海域であり

 

呉は古くから漁業の盛んな街でした。

 

明治時代には

第二海軍区鎮守府が開庁されます。

鎮守府っていうのは簡単に言うと

海軍の軍事拠点のことです。

 

戦前は呉市の海軍工廠(こうしょう)において

世界最大の戦艦でもある大和などがつくられ、

東洋一の軍港・日本一の工廠として知られていました。

 

工廠軍事工場のことです。

 

とにかく、呉市は軍事的にかなり

重要な場所の一つだったようです。

 

5.料理の描写

まず是非注目してもらいたいのは

作中の料理シーンです。

 

すずさんが、少ない配給をもとに

工夫しながら楽しんで料理をする様子

まるで音楽を奏でているかのようです。

 

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時にはうまくいかない料理もありますが、、。

 

当時は戦時中だったこともあり

食料品は多くが配給制でした。

その配給だけではもちろん一家全員の

お腹を満たすことは出来ません。

 

そのため、自分の畑だけではなく

道端や土手に生えている野草を摘んで

食べていた家庭も多かったようです。

 

作中でのソフトな表現では伝わりづらい

ですが、これってつまり食糧飢饉ですよね。

 

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市民レベルでは食事という

生きるうえで絶対に必要な要素

かなり危機的な状況でした。

 

それでも何とかしようとする

すずさんの姿勢に感服です。

 

6.人と自然

作中で、虫や鳥、動物たちの様子が一瞬といいほど

短時間で描かれるシーンが何度か出てきます。

 

この自然の生き物たちは、人の生活や

社会情勢、というか戦争ですね、

この戦争の影響を全く受けていないように

見せられています。

 

人間がどんなに争おうと、殺しあおうと

自然はありのままで、

自然は「自然」なままでそこにある。

 

人間の小ささが際立って感じられる

作りになっているのでしょうか。

 

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7.銃撃シーン、戦争描写のリアルさ

片渕監督が軍モノ、戦争モノに詳しいことは

先程お伝えしましたが

 

この作品もその描写がやけにリアル

日常生活のシーンがコントラストになって

よりそのリアルさが強調されています。

 

戦闘機を主観にして機関銃を撃つシーン

特にそれが際立っていたかなと思います。

このシーンのスピード感画角のバランス、

静と動の使い分け

スタジオジブリの雰囲気を感じさせられました。

 

他にも、空爆の煙がカラフルに表現されるシーンが

あるのですが

これは当時実際に弾の着弾点や、どの機がどの弾を撃ったのか

判断するために、赤や青といった色の煙が出る弾が使用されることも

あったようです。

 

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8.戦時中の人々の暮らし、街並みの再現

もう一つ注目してもらいたいのは

1940年代前後街並みの再現度です。

 

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どのシーンにおいても、当時の街並みが

綿密に再現されています。

 

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これは監督が実際に当時の街並みがわかる

資料をかき集め、当時を知る方々に取材などを

繰り返すことで実現したそうです。

 

安っぽいアニメにありがちな

張りぼてのような背景ではなく

 

人々の暮らしが垣間見えるような

深みや立体感があります。

 

これは実際に作品を見ていただいた方が

わかりやすいと思いますが、、。

 

この「背景」というのは

建物などの様子だけではありません。

そこに暮らす人々

時にはワイワイガヤガヤと

時にはシクシクエンエンと

 

それぞれに感情をもち生きている

様子が見て取れます。

 

アニメーションとして

同じ画面で、別々の人間

同時にバラバラに動すこと

かなり難易度が高いと言われています。

 

地上波で放送されているアニメなどを

見てもらえればわかるかと思いますが

 

主要な人物以外は動いていないことが

多いはずです。

 

何ならキャラクターの口しか動いていない

シーンなんてざらにあります。

(これが日本アニメ的な表現ともいえるのですが、、)

 

逆にアニメーションとして評価されている

作品をみていただくと

 

恐ろしいほど細部に至るまで

綿密に、不規則に

時には関係性をもって

 

モノや人が動いています。 

 

最近の作品では『風立ちぬ』での

 

人の往来を引きでみたシーンなどは

わかりやすいかと思われます。

 

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 今作でそれがわかりやすいシーンは

すずが砂糖を買うために

闇市に行くシーンですね。

 

戦時中で節制が叫ばれた時代とは

思えない程人でごったがえし

活気であふれる闇市

 

こちらも多くの人の往来を

詳細に描いています。

 

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9.この映画の持つ意味

 

 これはあくまで私が感じたことなのですが、、

更に本当に当たり前のことなのですが、、

 

戦争がもたらしたものって一体なんだったのか。

 

このことを「一般市民レベル」ではどんな

影響があったのか。

 

つまり

「世界の片隅」では何が起きていたのか。

 

 

この鉛のように重たいテーマを

すずさんという一人の人物にフォーカスして

映画を観たものそれぞれに

ずしんと問いかけてきます。

 

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すずさんはただ自分の人生を

幸せに生きていたはずです。

 

周りに流されたり

義理の姉にいびられても

それでもなんとか

やってきたはずです。

 

しかし戦争がそれを許しませんでした。

 

自分の住む場所が戦火にさらされることで

安心してそこに住むことはできません。

 

満足に食事をすることもできません。

 

戦争で兄は死に、

夫や幼馴染も命の危険に晒されます。

 

大好きだったはずの

あることをきっかけに一生

書くことが出来なくなりなした。

 

戦争がなければ

幼い姪っ子は死ななかったはずです。

 

戦争がなければ

原爆が落とされることはなかったはずです。

 

戦争がなければ、、

 

戦争がなければ、、

 

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大勢の死者を出し

こんなにも多くの人を苦しめた

「戦争」という手段。

 

世界中の人々が

多くの命と時間を引き換え

やっと「戦争をしない」という

時代にまでやってきました。

 

なのに世間には

戦争という手段

再び持ち出して

何かを企む人たちがいます。

 

我々一般市民は

またそれに従わなければ

ならないのですか?

 

国が一部の特権階級の利益のために

大きく舵を切ったとき

何も言わずただそれについていくのですか?

 

何も言わない、何も主張しない。

そうすることは美徳だと刷り込まれてきた

我々に本当は決める権利があるのです。

 

本当の平和とは

ただそこにあるのではありません。

 

誰かによって

壊されたり、奪われたり

偽物にすり替えられたりしないよう

みんなの手で守ることで

ようやく形となるのです。

 

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まずは自分のために、

そして身近な人の為に。

さらには世界のみんなの為に。

 

何度でも平和とは何か考え

次の世代のためにも

平和を守っていきたいですね。

 

10.最後に

 

この様なテーマを扱うとき、

結局、結論はぼやけて焦点の当て辛い

概念的なものになってしまいます。

 

正直「平和」なんて

正解は人それぞれだし

そもそも正解なんてありません。

 

一般に正解とされるものは

時代によっても

によっても

コミュニティによっても

変わるものだからです。

 

ただ、そうであったとしても

「平和」において絶対に変わらない

要素もあるはずです。

 

その要素が想像できない人は

自分の子供に、自分の次の世代に

どんな世界で暮らしてほしいか

考えてみてください。

 

そうすることで

何かが変わるかもしれませんから。

 

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 今回は以上です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

【ハートフル】最強のふたり【ピースフル】

 

皆さんどうも!

ニワカ映画研究所です。

 

突然ですが、

某ツ〇ヤ某GE〇

レンタルDVDのコーナーとかで

プッシュされてる奴って、

 

敢えて避けたりしません?笑

 

特に邦画コーナーなんて

 

「どーせ人気イケメン俳優と

売り出し中の若手女優が出てる

クソ映画なんだろ、、。」

 

なんて思ったりもしますが、、

 

今回はそんな

おすすめコーナーにありそうな

この作品!

 

『最強のふたり』

 

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こういう

「泣かせに来ましたよ~」って作品、

日頃からまあまあ

斜に構えて見てしまうのですが

 

今回はボロ泣きしました。笑

だって素敵な話すぎるんですもん。

 

ではレビュー始めます!

 

 

 

1.キャスト、監督、作品詳細

 

監督はエリック・トレダノ

 

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オリヴィエ・ナカシュ

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2011年公開のフランス映画です。

 

 

 

2011年10月23日、

第24回東京国際映画祭の

コンペティション部門にて上映され、

 

最高賞である

東京サクラグランプリを受賞し、

主演の2人も最優秀男優賞を受賞しました。

 

 

また、第37回セザール賞で

作品・監督・主演男優・

助演女優・撮影・脚本・編集・音響賞

ノミネートされ、

 

オマール・シーが

主演男優賞を受賞しています。

 

フランスでの歴代観客動員数で3位

(フランス映画のみの歴代観客動員数では2位)

となる大ヒット作となりました。

 

2011年にフランスで公開された

映画観客動員数では1位で、

同年公開された

『ハリーポッターと死の秘宝PART2』の倍以上の

動員数を記録しています。

 

 

日本でも興行収入が16億円を超え、

日本で公開されたフランス語映画の中で

歴代1位のヒット作となりました。

 

 

とにかくとんでもないヒット作みたいですね。

 

 

続いてメインキャストについて。

 

頸椎損傷により体が不自由な大富豪、

フィリップ役をフランソワ・クリュゼが。

 

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過去、セザール賞の主演男優賞を

『唇を閉ざせ』(2006)で受賞。

またセザール賞には他に9回ノミネートされています。

 

 

そのフィリップの介護をすることとなる、

貧困層の若者を

オマール・シーが。

 

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本作『最強のふたり』(2011)で

セザール賞の主演男優賞を受賞

 

それ以降ハリウッドでも

引っ張りだこの人気俳優で、

 

他には『ジュラシックワールド』や

『インフェルノ』といった

作品に出演しています。

また、コメディアンとしても

活動しているそうです。

 

 

 

2.あらすじ

 

パリに住む富豪の

フィリップ(フランソワ・クリュゼ)は

頸髄損傷で首から下の感覚が無く、

体を動かすことができません

 

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そのため日常生活は

自ら雇った介護人に

支援してもらわないと

生きていくことすらままなりません

 

 

フィリップ秘書のマガリー

住み込みの新しい介護人を雇うため、

候補者の面接を

自宅の豪邸で行っていました。

 

 

 

多くの候補者は

これまでの自分のキャリアや資格

あたかも介護職らしい

自分の価値観が正しいかのように話す中、

 

 

そこに居合わせたドリス

何の資格もなく

ただ面接を受けに来ただけの

場違いな貧困層の黒人でした。

 

 

ドリスは失業保険を受け取るために

面接に行き、不採用になった証明として

サインをもらいにきただけなのです。

 

 

なんの夢も無くふらふらと生きる

ドリスが気にかかったフィリップは

 

ドリスに明日サインを

取りに来ることを約束させ

周囲の反対を押し切り

介護人としてなし崩し的に

雇うことにしました

 

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ドリスは介護の経験は全くなく

一から十まで教えてもらわないと

何もわかりません。

 

フィリップの介護を学ぶ中で

「首から下の感覚がないって

どういう気持ちなのか」

と疑問に思います。

 

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フィリップへパーソナルな質問を

どんどん投げかけるドリス。

 

それは差別や侮蔑ではなく

一人の人としてフィリップを

知りたかったからでしょうか。

 

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少々雑な介護ではありましたが

どんどんと打ち解けていく

ドリスとフィリップ。

 

 

 

それぞれの内面を打ち明けていく中で

お互いが人にあまり

打ち明けることのなかった

コンプレックスを吐露します。

 

 

 

自身の出自や家庭環境

コンプレックスをもつドリス

障害を持つ自分の様子

コンプレックスをもつフィリップ

 

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お互いがお互いのコンプレックスを

乗り越えるためにサポートしあい

ふたりは遂に

かけがえのない親友となるのです。

 

 

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3.弱者を支援する気持ち

 

フィリップの介護人の

面接のシーンにて、

 

全く経験も無く資格もないドリス

資格を持ちそれなりの

キャリアのある人達とで

対照的に描かれる場面があります。

 

映画的に、いわば

「わかりやすく」ドリスと

それ以外とで比較されていますが

 

この作品が伝えたいのは

「見た目やキャリアでなく

性格で人を観ろ」

みたいな安ーい考えではなく

 

「他者を支援する気持ちとは」

ということについて疑問を

投げかけたいのではないか

と思います。

 

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介護される側である

フィリップが求めていたのは

単なる生活の介護や

綺麗事ばかり話す人間でなく

 

お互い笑い合って

時に愚痴も言い合って

からかいあったりもするし

たまには喧嘩もする

 

「お前誰が好きなの?」

「これ面白くない!?」

 

なんて話せる友達

だったのではないでしょうか。

 

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人は自身と大きく異なる人を

うまく理解する事はできません。

 

それは、歩んできた人生や

これまで経験し感じた事の差異もありますが

 

大きな要因の一つは

 

「この人は『私達』とは違う」

 

という考え方、

壁みたいなもの

どこかに潜んでいるから

ではないでしょうか。

 

 

 

この『私達』という

実態のない、それぞれの中にある

共通認識が

 

無意識のうちに他者を排除し

「仲間」とか

「他人」とか

「敵」とか…

 

勝手にラベリングして他者を

都合良く解釈しています。

 

 

 

この感覚、みなさんも日常の中で

感じたことはありませんか??

 

 

「あいつは俺らと違うから」と

優れた能力を持つ人を

深く知りもせず決めつけたり

 

障害を持つ人達を特別に取り上げて

彼らの考え方を美化してみたり。

 

 

人間の根源的な防衛本能として

手近な似たもの同士でコミュニティを

作ることは仕方がないのかも

しれません。

 

 

ただ、他者と全く共感できない人はいない

ということは心理学的に証明されています。

 

他者を知るには、兎にも角にも

コミュニケーションをとるしかありません。

 

 

 

これは僕の実体験なのですが

 

出会った頃はあまり話すこともなく

寧ろはたから見た様子は嫌いなくらいの

知り合いがいたのですが、仕方なく

コミュニケーションをとらざるを得ない

ことも多く、話をしているうちに

何故か仲良くなっていきました。

 

 

それは単に仲良くなった、というだけでなく

その人の内面を知ることができたから

なんだと思います。

 

 

反対に、最初は仲が良かったはずが

だんだんと疎遠になった人もいます。

 

それは環境だけでなく、

おそらくその人の

内面が僕自身の内面と

かみ合わなかったから

なんだと思います。

 

 

 

私は、世界中全ての人間が

仲良くなることは

難しいと考えます。

 

ただ、お互いを尊重

それぞれの幸せや平和を

獲得することは可能であるはずです。

 

 

 

先程の繰り返しではありますが、

他者から奪ったり、

傷つけあったりする原因は

 

「知らないこと」です。

 

 

更に「知らない」からこそ

様々な社会的弱者への

支援やその方法が

うまくいかないのです。

 

 

この映画ではフィリップの事を知りもしないのに

「障碍者」への支援を一人よがりな考えで

決めつけていた介護人希望者を

愚かな人間に描いています。

 

 

世の中の多くの人が、他者を属性や

社会的立場で判断することなく

フラットに理解できるようになれば

少しはみんなが生きやすい世の中に

なるのではないでしょうか。

 

 

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4.異端の孤独

 

社会的に異端であること。

能力が極端に優れていたり、劣っていたり

病気を持っていたり、障害があったり。

 

社会ではこのような極端な要素を持つ

人達排除する傾向にあるように思います。

 

特に日本においては

「人と違った能力」を持つ人よりも

「平均的にすぐれた」人物が好まれます。

 

 

 

人並みになんでもできて

生活能力もある。

 

もちろんそうできる人は

とっても素晴らしいです。

でもそうでない人は

非難の対象になってしまいます。

 

 

 だからこそ多くのひとは

自分が平均的であるように

必死になります。

 

自分を守るために

他の大多数の人とは違う部分

隠したりもします。

 

 

そんな社会の雰囲気があるために

違った意見を言ったり

大多数の他者と

同じ生き方をさせられるのです。

 

 

どうしてそうなってしまうのでしょうか。

 

 

それは不安だからです。

 

異端であることで孤独になること。

一人ぼっちになること。

これが不安でたまらないのです。

 

 

人間は遠い昔から

集団生活をしてきました。

この集団からはぐれること

死に直結していたのです。

 

 

また、自分たちと大きく異なる人間や

弱者を排除することで

自分たちの生活を守ってきました。

 

 

しかし

こと現代においては話が違います。

 

こんなにも豊かになった現代において

身体的特徴や精神的特性によってなぜ

生きづらさ

感じなければならないのでしょう。

 

 

人類の発展の次の段階として、

地球という大きな共同体として助け合う

気持ちを養っていきたいものです。

 

 

その為にはまず身近な異端を排除しないこと。

属性や所属はちがっても同じ人間なのです。

それぞれが幸せに生きられるよう

お互いを理解して、

楽しく生きていければいいですね。

 

 

5.最後に

 

最近の記事は最終的に

映画の内容でなく

内容をふまえた

私の持論を展開しただけのものに

なっていますね、、。

反省です。

 

これには私自身が

社会の異端であるという認識や

これまで保身のために

異端を排除してきてしまった

自身への反省もあるのです。

お許しください。

 

 

それはさておき、

ドリスの人間味溢れる様子が

すごくキュートだし、

フィリップのツンデレさが

クスリとさせてくれる

とってもハートフルな映画です。

 

 

そんななかで、

身体的弱者や社会的弱者は

どういった立場で

どのように思い生活しているのか

 

その一かけらでも気づいていただけたら

いいな、と思います。

 

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今回は以上です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

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【日常に疲れた貴方へ】恋は雨上がりのように【爽やかな恋模様】

 


皆さまご無沙汰しております!

ニワカ映画研究所です!

 


長〜い休止期間経て帰ってまいりました。

ようやく活動再開の目処が立ちましたので

久々の更新になります。

 


今回取り上げる映画はこちら!

『恋は雨上がりのように』

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とっても、とっても爽やかで、

そのタイトル通り雨上がりのように

すうっと心が晴れ渡る

そんな作品を今回はレビューしていきます。

それではどうぞ〜

 

 

 

 
1.キャスト

主演は大泉洋小松奈々

 


バツイチ子持ち、都会からちょっと外れた街の雇われファミレス店長。

近藤正己役を大泉洋が。

 

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いつもはお喋りでひょうきんものの大泉さんですが、今回はしがないおじさんを演じます。

特段嫌われている訳ではないが、従業員にはちょっとバカにされてる甲斐性の無さそうなおじさん。

でもほんとはとっても優しくて紳士的で、常識のある人なんですね。

それはもと作家志望で教養に溢れているからか…

なんだか等身大のおじさんですね。

 

 

そのおじさんに恋する女子高生、橘あきら役を小松奈々が。

 

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スラっとしたシルエットと目つきの悪さと、感情表現が苦手であることから

クールで近寄りがたく、何を考えているのかわからないと思われがちな彼女。

 

精神的にも大人に見られることも多い彼女も、中身は

等身大の17歳の女子高生でした。

 

仲が良かった友達と喧嘩したり、意味もなくイライラしたり

些細なことで笑ったり、衝動的に走りたくなったり。

 

そんな彼女の淡く爽やかな恋が、この映画では描かれます。

 

 

監督は永井聡

 

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本作以外には

『世界から猫が消えたなら』(2016)

『帝一の國』(2017)

『ジャッジ!』(2014)

といった映画を監督しており、他にはCMの監督、撮影を

主にしているそうです。

 

他キャストは清野菜名、松本穂香、山本舞香、濱田マリ、戸次重幸、吉田羊など

 

2.あらすじ

 

感情表現が不器用で一見クールな17歳の女子高生・橘あきら

彼女はアルバイト先のファミレスcafeレストラン ガーデン』の店長である

45歳の近藤正己に密かに想いを寄せている。

 

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自他共に認める“冴えない男”の近藤だが、あきらはそんな彼の魅力を

「自分だけのもの」として、胸に秘めた恋心を募らせていた。

そんなある日、アルバイト中に起こったとある出来事をきっかけに

あきらの秘めたる恋心は大きく動き出していく。

 

あきらの恋の行方は果たして。。。

 

3.年の離れた異性との恋愛とは

 

年の離れた異性の恋愛ってどういう意味なのか。

この映画を世の中の

全おじさんに恋する女子高生

全女子高生とワンチャン狙うおじさん

に見ていただきたい。

 

 

世間の未成年、ましてや女子高生にガチな恋心抱くおじさんが

如何に気持ち悪くて非常識私欲の為に動いているか。

 

逆に常識的なおじさんは女子高生からのラブアピールに

どう反応するのか。

 

 

作中であきらが

 

「周りなんて関係ありません!私は店長が好きなんです!」

 

と訴えるシーンがありますが、それに対し店長の近藤は

 

「(周りは)関係あるよ。同年代ならまだしも、女子高生ほど

年齢の離れた橘さんとの恋愛ならそれなりの理由も必要だ。

僕は子供もいるし、もう45歳だよ。」

と応対します。

 

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近藤にとってはあきらの好意は全くの想定外で

最初のあきらからの告白は、ただあきらが店長を嫌っていない

だけなんだと勘違いし受け取るのですが

二度目の告白でようやくあきらの本心を知ることとなります。

 

冴えないおじさん近藤はバツイチ子持ちの45歳。

その告白を「嬉しい、嬉しくない」よりもまず

「果たしてどうしたものか、、」と困り果てます。

 

 

これが正に「普通」の「冴えない」おじさん、近藤の

反応です。そりゃあそうですよね。

 

 

異性に好かれることはうれしいでしょうが、相手は女子高生。

多感な時期だし、更には職場の部下で、、

「どうすれば傷つけず穏便に断ることができるだろうか」

なんてことで頭を巡らせるのかもしれません。

 

 

対してきらっきらの17歳女子高生、あきらは

まさに10代らしい恋心を抱いています。

 

 

 

店長との最初の出会いは、あきらが病院帰りに

ファミレスにふと立ち寄った時。

あきらは陸上部の短距離のエースでしたが

アキレス腱断裂により、しばらくの安静と休養を

余儀なくされます。

 

これまで幼いころから打ち込んできた陸上を

出来なくなったあきらは、そのあまりに突然のケガに

絶望し、自分のアイデンティティを失ったことで

ふわふわと、ふらふらと病院の帰り道にあった

ファミレスに足を運びました。

 

友達の誰も知らない場所で、知り合いの誰にも見られず

ただ外を眺めていたい。

何物でもなくなった自分のことは忘れて、

ただ降りしきる雨の行方を、その雨音を聞いていたい。

 

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こんな気持ちになるのは若さの特権でしょうか。

そんな傷ついた雨空のあきらの心に小さな晴れ間が射します。

 

あきらのもとに頼んでもいないコーヒーが運ばれてきます。

「あの、わたし、頼んでませんけど。」

「サービスです。ただ雨が止むのを待つのはつまらないでしょう?」

「、、、ありがとうございます。」

 

「あれ、ひょっとしてブラックコーヒー苦手だった?

ちょっと待ってて。」

 

先程まで何もなかった男の手のひらに、ミルクが乗っています。

 

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「あっ!」

 

「きっとすぐ止みますよ。」

 

あきらにとってどうしようもなく悲しいときに

優しさを与えてくれた人こそが、店長の近藤でした。

 

その後あきらは、店長への好意からか、ただ時間が有り余っていたからか

自分の住む町からは少し離れた郊外のファミレスで働くこととなります。

 

 

こんな一部始終もあってか、あきらの恋心は

どんどん加速していきます。

 

周りの近藤への評価に「この恋は変なのか」と自問自答するも

近藤の立ち振る舞いや、ちょっとドジで感性が古いこと、

その人柄さや匂い、近藤のすべてが好きになっていきます。

 

↓近藤のシャツの匂いをかぐあきら

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 このあきらのフレッシュな感性、恋愛観に近藤は辟易するものの

近藤はかつて自分が何かに打ち込み、情熱を燃やしていた「過去」を、

自分の中の若さを再燃するきっかけとなります。

 

あきらの、葛藤を抱え悩みながらも何かに真っすぐに気持ちを向ける

自分が諦めかけていた夢へ再挑戦する後押しになったのです。

 

 

また、あきらにとっては、近藤の存在が自分の本当の気持ちを

知るきっかけとなり

 

二人はそれぞれ、新しい一歩を踏み出すことととなります。

 

 

 

年の離れた男女の恋愛を描き、且つそれが互いの関係を壊すことなく

お互いを高めあい支えあい、別々の道を歩んでいく。

 

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この結末が

私が失いつつある、 恋愛の淡さ、爽やかさ、ノスタルジックさ

思い出させてくれました。

 

 

こんな気持ちは久しく味わっていません。自分のなかの

「若さ」の一部が顔を出したような気がしました。

 

 

現実の年の離れた異性の恋愛はこんな風にはならないのでしょうが。

とりあえず女子高生とワンチャン狙うおじさんは死滅してください。

 

 

4.芥川『羅生門』とのリンク

 

作中、近藤が芥川の羅生門の一説を引用し、自分の気持ちを

表すシーンがあります。

 

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さるこくさがりからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。そこで、下人は、何をおいても差当り明日あすの暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。

https://www.aozora.gr.jp/cards/000879/files/127_15260.html

 

近藤にとってあきらの告白は云わばどうにもならない事であり、

それをどうにかしようとして、とりとめもない考えを辿りながら、

自分の住むアパートに響く雨音を、聞くともなく聞いている

 

といったことでしょうか。

 

 

 

羅生門は、基本的に暗く鬱屈した本質的な人の有様を、残酷なまでに

リアルに描いています。

本映画では羅生門とは対照的比較的さっぱりとした描写が多いのですが

いくつかの共通点も見受けられます。

 

「天気」が人の気持ちとリンクしている点。

そして、雨宿りの為に偶然にも二人の人間が出会う、という点です。

 

羅生門では「下人」と「老婆」が羅生門にて出会います。

この二人は恐らく本質的には同じ要素を兼ね備えた人物ですが、

その立場や環境が大きく違うため、関係性もいびつであることが

『羅生門』本文を読むとわかると思います。

 

本映画では、あきらの雨宿りがきっかけとなり近藤とあきらは出会います。

二人は立場も環境も大きく違いますが、近藤は自分の夢半ばにして挫折しており

あきらはケガにより同じく夢を諦めています

あきらは近藤に惹かれるものの、立場も環境も大きく違うため

こちらも関係性がいびつに描かれています。

 

 

ただ『羅生門』とこの映画が違うのは

二人が互いを補うようにして結果成長したという結末

 

これが近藤が性欲にまみれ私欲を優先する人物であったなら

『羅生門』の「下人」のごとく

「俺は告白された側だから」とあきらに責任を転嫁し

肉体関係を持つことをしたかもしれません。

 

 

近藤が教養に溢れ、紳士的で「大人」な人で

ほんとに助かりました。。。笑

 

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また

芥川が小説の価値を、作者の「詩的精神」の「深浅」と

していたという話を聞いたことがある人はいるかもしれませんが

近藤も同じく、その脳内は「詩的精神」的な思考を

持ち合わせているようで

独特な退廃的思考で物事を考える傾向にあるようです。

 

この辺りは私の深読みかとおもいますのでスルーしてもらって

大丈夫なのですが、、

 

 

とにかく本映画は『羅生門』や芥川にリンクする要素が

たくさんあるようです。

 

5. 最後に

 

今回もなんだか深読みの自分語りを繰り広げてしまいました。

兎にも角にもこの映画は良作です!

 

しばらく洋画ばかり見ていたせいか、日本映画特有の空気感

それこそ「詩的精神」みたいな感覚がすごく素敵に思いました。

 

 

日常生活に少し疲れたそこの貴方!

 

休日にコーヒーでも飲みながら

是非一度ご覧になることをおすすめします。

 

重たくなった心が、雨上がりのように気持ちよく晴れるはずです。

 

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晴れ間の空気をすうっと吸い込んで。

 

それでは今回はこの辺で。

最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

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【殺人に心躍る!?】JOKER/ジョーカー

 

 

皆さんいかがお過ごしでしょうか。

 

にわか映画研究所、所長でございます。

今回レビューする作品はこちら。

 

『JOKER/ジョーカー』

 

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公開されるや否や

世界中で大ヒット

記録しているこの映画。

 

 

噂によると、

「危険」な映画だそうですが、、

 

その真相を確かめるべく

IMAXシアターにて鑑賞してまいりました。

 

 

〇目次

 

 

1.監督

 

監督はトッド・フィリップス

↓右が監督です。

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『ハングオーバー』といった

コメディーを主に撮ってきた監督です。

 

 

この作品にもこれまでに培ってきた

コメディー力が遺憾なく発揮されています。

 

 

寧ろこの力が発揮されたことで

より不気味暴力的に見える

作品でもありますね。

 

 

そしてこの監督が

今の世界情勢に思うこと

ジョーカーが代弁してくれています。

 

 

2.キャスト

 

主演はホアキン・フェニックス

 

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両親が新興宗教団体の信者であったり

兄弟が軒並み俳優であったりと

少々異色な経歴をもつホアキン。

 

 

突然俳優を辞め、ラッパーに転向したり

(現在は俳優に戻っています)

 

ドキュメンタリー映画を秘密裏に撮るために

実生活でも1年以上狂人を演じて見せたり、

挙句の果てには

「アカデミー賞はクソだ」

と発言したりと

 

世間を騒がせ続けています。

 

これまでも陰鬱な役や

狂人の役を演じることが多い

ホアキンでしたが

 

ジョーカーという役には

かなり苦労した様です。

 

 

まずは24kgの減量

頬はゲッソリとこけ、

骨が浮き出るほど

ガリガリに

シルエットを変貌させました。

 

 

更には

政治暗殺者や

暗殺者志望の人物について

書かれた本を読みあさり

役としての内面も深めたそうです。

 

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この様に

撮影期間前からジョーカーとしての

外見と内面を作り上げつつ

 

ジョーカー(アーサー)の人間性

を演じるために

 

日々の暮らしや

日記などをつけるにしても

その役に入り込み

思考を巡らせていきました。

 

 

 この徹底的な役作り

その成果は今作に

存分に発揮されています。

 

 

助演には

ロバート・デニーロ

ザジー・ビーツ等。

 

ロバート・デニーロはかつて

マーティン・スコセッシ監督作の

『タクシードライバー』で『ジョーカー』での

アーサーと同じような社会的弱者

役を演じました。

 

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今作では有名コメディアンとして登場します。

 

 

3.あらすじ

 

ゴッサムシティに暮らすアーサー

年老いた母を自宅で介護しながら

道化師(ピエロ)のアルバイトをしていた。

 

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彼の夢はスタンダップコメディアンになること。

日々思いついたジョークを

ノートに書き溜めていた。

 

 

アーサーはとある病気を抱えていた。

それはトゥレット症候群。

 

してはいけないと思うほどしてしまう。

 

笑ってはいけないような

辛いとき、苦しいとき、悲しいときに

笑ってしまう、

という病気だった。

 

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薬で症状を抑えようとするも

その症状を「不気味で気持ち悪い」

周囲の人間にさげすまれていた。

 

 

ある日、アーサーはピエロのアルバイト中、

不良少年たちに襲われる。

それをきっかけに仕事の同僚から

「護身用だ」と銃を受け取る。

 

アーサーは危険だとわかりつつも

胸に銃を仕込んで生活を送ることにした。

 

 

アーサーの日々は悲惨そのものである。

仕事中に襲われたことを

上司には信じてもらえず

 

病気の治療のために

通っていた、市の診療所も

助成金の削除により

閉鎖してしまう。

 

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「誰も私を受け入れてくれる人はいない」

「何処にも私の居場所はない」

 

 

心優しく真面目であった彼に

どうしようもない苦痛の根が張り始めた。

 

 

と同時に彼に自傷的ともいえる

破滅願望、暴力衝動

芽生え始める。

 

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「クソみたいな人間は死ねばいい」

「クソみたいな社会は終わらせてしまえばいい」

 

 

ピエロの仕事を首になった帰り道、

地下鉄で乗り合わせた酔っ払いサラリーマン達に

いわれのない暴力を振るわれるアーサー。

 

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遂にアーサーの悪の華が開く

 

サラリーマン達を銃で皆殺しに。

 

この事件は抑圧されたゴッサムシティの

貧困層に火をつける。

 

 

あることをきっかけに

自分がトーマスウェインという

富裕層で市長候補の男の子供であること

自分が養子であること

母が虐待で捕まった犯罪者であること

 

自分の根幹を揺るがす秘密が

次々に明らかになる。

 

 

 

しかし

トーマスウェインは母や自分を

受け入れず狂人だと罵り

 

アーサーは心のよりどころの母を

裏切り者だったのだと思い殺し

 

良い中になったはずだった隣人は

自分の妄想が作り上げた存在だったと気づく。

 

 

 

もう失うものはなくなってしまったアーサー。

彼を止めるものは何もない。

 

 

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アーサーは自身にピエロのメイクを施し

高らかに笑いながら

正義を執行することを決意した。

 

 

 

その瞳に涙を浮かばせながら。

 

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自分を笑いものにした大物コメディアンの

トークショウに出演し

分かり合えないとわかるや否や

そのコメディアンの

頭を銃で撃ちぬくアーサー

 

 

貧困層のカリスマJOKERの

誕生した瞬間だった。

 

 

 

警察に連行されるも

暴徒によって救出されるアーサー。

 

 

 

燃え盛るゴッサムシティをバックに

高らかに笑い、舞う

ジョーカーがそこにいた。

 

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4.ジョーカーとは??

 

 ジョーカーとは、言わずと知れた

バットマンの敵、ヴィランの一人です。

 

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ピエロのようなメイクビビットな衣装

サイコな性格などの特徴があります。

 

 

オリジナルの設定では

顔が白いのはメイクではなく

化学薬品を扱う工場で

薬液に顔ごと浸かってしまい

肌が白くなってしまっています。

 

 

 

更にその性格も

作品ごとに異なっており

サイコパスだという要素も

実は後付け的についていきます。

 

 

最初はコソ泥のような

矮小な存在姑息な手段

使う陽気なヴィランでしたが

 

ジャック・ニコルソンが

ジョーカーを演じる際、

今の我々のジョーカーの

イメージに近い

 

サイコパスで狂った性格

の人物として描いたのです。

 

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ジョーカーには特別な能力はありません。

人間離れした腕力も

空を飛ぶ能力も。

 

目からビームを出すなんて

もってのほかです。

 

 

なのでバットマンに

ボコボコにされるのは

日常茶飯事。

 

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ジョーカーにあるのは

根拠のない殺人欲求

毒薬や爆弾などの製造知識。

後はバットマンへの

興味です。

 

 

 

ピエロの使う小道具のような

凶器を駆使し

バットマンが困るであろう

様々な悪だくみをする。

 

そんなジョーカーが近年の作品では

よりサイコな面を前面に

押し出すようになりました。

 

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猟奇的かつ快楽的な殺人。

富裕層や堕落した人間

標的にした事件。

善人たちを貶めるような

謀略の数々。

 

 

 凶暴なジョーカーですが

そのカリスマ性

惹かれている人も

いるのが事実です。

 

 

5.ジョーカー役にまつわる逸話

 

これまで様々な映画、漫画等で、

バットマンの

敵役として登場したジョーカー。

 

このジョーカーという役には

「呪われている」 

といっても過言ではない程

不気味な逸話が残っています。

 

 

 

2008年、『ダークナイト』にて

ジョーカー役を演じた

ヒース・レジャー

 

公開の数ヶ月前に

亡くなりました。

 

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当初発表された死因は

「処方薬の過剰摂取による薬物中毒

であるものの、

 

 

世間では狂気をはらんだ

異常なキャラクターである

ジョーカー役に入り込みすぎた結果、

 

 

睡眠障害うつ状態などを

引き起こしてしまったからだと

ウワサされています。

 

 

 

後に公開されたドキュメンタリーでは

親族がそのウワサを否定しては

いますが、

 

「先週は平均で2時間しか眠れなかった」

 

「考えることを止められないんだ。

僕の体は疲れ切っているのに、

心は動き続けていた」

 

という本人の発言が

そのウワサを裏付けるようでも

あります。

 

 

おそらく本当の死因は

「薬の飲み合わせの

ミスによる事故死」

言われているそうです。

 

事件の真相はいかに。

 

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『スーサイドスクワッド』にて

ジョーカー役を演じた

ジャレッド・レト

役にのめり込むあまり、

 

 

共演者に豚の死体

送りつけるなどといった

奇行を繰り返しました。

 

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この様にまるで

キャラクターそのものに

何か憑いているように

感じられるジョーカー。

 

ホアキンフェニックスは

無事であることを

願うのみです。

 

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6.スタンダップコメディーってなに?

 

劇中でアーサー(ジョーカー)が

目指していたコメディアンとは

 

主にスタンダップコメディを

生業とする人のことを指します。

 

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スタンダップコメディとは

西洋風の漫談のようなもので

 

 

アメリカでは

日本のようなコンビでの漫才ではなく

 

一人で舞台に立ち、ジョークを披露する

というスタイルの芸風がメジャーです。

 

 

このスタンダップコメディで名前の売れた

コメディアンは

 

テレビ番組でトークショーを持ったり

俳優に転身することも

しばしば。

 

 

かのジムキャリー

スタンダップコメディアンでした。

 

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私達日本人にとっては

このスタイルは

練りに練ったネタを披露する、

 

というよりも

 

格言や風刺に近いようなものを

短い落語のようなノリ

話す、という方が

分かりやすいでしょうか。

 

 

文化の違いが見える部分だったので

少し解説をさせていただきました。

 

このカルチャーを

少し知っておくだけでも

この映画の見方が

変わるかもしれません。

 

 

お笑いではなく

「コメディ」であること。

 

 

この映画も大きなスケールの

コメディであるといえるかもしれません。

 

それは

現代社会への風刺であるからです。

 

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7.悲劇?喜劇?のチャップリン

 

劇中後半で

ジョーカーと富裕層の観客たちが

シアターでチャップリンの

 

『モダン・タイムス』を

観賞するシーンがあります。

 

 

 

『モダン・タイムス』

チャーリー・チャップリンが

監督、製作、脚本、作曲を担当した

 

モノクロのコメディー映画で

彼の代表作です。

 

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また、この作品は「サウンド版」と呼ばれ

一部にセリフが入る以外は

BGMと効果音のみによる

 

サイレント映画に属するものでもあります。

 

 

そしてこの映画のシナリオが

『ジョーカー』と重なって見え、

実際にインスピレーションを受けて

いるものであるのは間違いありません。

  

①『モダン・タイムス』あらすじ

 

貧困層労働階級のチャーリーは

大きな製鉄工場で

 

ベルトコンベアに流れる部品に

ひたすらねじを回し続ける

単純作業の繰り返しの仕事をしていた。

 

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その様子はテレビモニターで

監視され、工場のマシーンの

実験台をさせられ

次第に発狂し、精神病院送り

なってしまう。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20191018115630j:image

 

退院後はひょんなことからデモ隊のリーダーに

間違われて拘置所に入れられる

 

模範囚として拘置所をでるも

その後ついた仕事は

長続きせず路頭に迷うこととなった。

 

 

拘置所が恋しくなったチャーリーは

わざと無銭飲食をし捕まえられる。

その途中、護送車の中で出会った

少女に連れられ運よく逃亡

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20191023115303j:image

 

意気投合した二人は、

豊かな生活を夢見て一念発起。

 

しかしチャーリーは、仕事は

不運が続きうまくいかず

少女はキャバレーで歌をうたう

ことで成功しかけるも

未成年であることから

その職場をおわれることとなってしまう。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20191023115423j:image

 

掴みかけた幸せすらも失い

悲しみに暮れる少女を

励ますチャーリー。

 

そして二人は現代社会の

理不尽で冷たい世界から

解放されるために

自由な生活を求めて

旅に出るのだった。

 

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②『モダン・タイムス』の持つ意味

 

この作品は、当時の社会への

強烈な風刺や皮肉を孕んでいます。

 

資本主義がもたらした格差

覆しようのない社会的ヒエラルキー

 

弱者はとことん弱者であり続け

特権階級に搾取され続ける。

 

 

1936年の映画ではありますが

これは2019年、今の日本社会にも

見て取れる状況なのではないでしょうか。

 

 

どんどん広がり二極化する収入格差

世襲政治のもたらす

特権階級、大企業や富裕層を

優遇する政策の数々。

 

増税や社会保障制度の改定などによって

目減りしていく収入とは反対に

どんどんと値上がりしていく生活必需品

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20191023121855j:image

 

ひと昔まえではありえなかった

月収手取り14万、15万円以下

人達が世間には溢れています。

 

 

こういった収入レベルの人たちは

職業の安定した雇用も見込めず

いつ路頭に迷ってもおかしくは

ありません。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20191023121609j:image

 

貴方やあなたに近しい人が

いつ『モダン・タイムス』の

チャーリーと同じような

末路を辿ってもおかしくはないのです。

 

 

我々は既に窮地に

立たされていることを

自覚しなければなりませんね。

 

 

③『ジョーカー』でこの映画は何を伝えているのか

 

『ジョーカー』でジョーカーと富裕層が

『モダン・タイムス』を見ながら

同じように笑う

シーンがあります。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20191023122116j:image

 

富裕層の人々にとっては

風刺のきいたジョークとして

笑えることなのかもしれません。

 

 

しかしジョーカーにとっては

そうではありません。

彼は正に今同じような状況

陥っているわけですから。

 

 

でも彼は

「笑ってはいけないときにわらってしまう」

トゥレット症候群。

 

『モダン・タイムス』を見て

悲しくなろうとも

笑うことしかできないのです。

 

もしくは自分の人生と

『モダンタイムス』を重ね合わせ、

 

「なんて馬鹿げた人生だ」

自分にあきれて

笑っているのかもしれませんね。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20191023154501j:image

 

それぞれの立場が浮き彫りになる

何とも言えない悲しいシーンです。

 

 

8.この映画のメッセージ

 

 

先程の『モダン・タイムス』の話の

続きのようではありますが

 

 

『モダン・タイムス』と『ジョーカー』、

そして現代の日本、ひいては世界情勢すらも

リンクして見えてきて仕方がありません。

 

 

『ジョーカー』でアーサーは

雇用の安定しない、賃金の低い職に就き

社会の理不尽や不運によりその職を

失うこととなります。

 

 

更にアーサーは病気の治療を市の施設

していましたが、その施設も

富裕層を優遇する政策で閉鎖

 

 

お金が無いのでまともに薬を

買うこともできません

 

 この様は

まるで今の日本みたいだ…と感じます。

 

 

今日本では

多くのひとが正規の職員としてではなく

派遣社員として低い賃金で短い契約年数

働いています。

 

それもそういった雇用体系を推進した

国の体制があってのことです。

 

 

 

更に社会保障制度の改定により

医療サービスや薬の個人の負担額が増えたり、

 

身体障碍などでの公的補償を受け取る

ことのできる条件が厳しくなったり

しています。

 

 

しかしなぜか

給料から引かれる社会保障の

額は増えていっています

 

 

 

そして更なる増税

現在10%の消費税は近いうちに

20%まであがるといわれています。

 

その税収も多くが法人に向けて

使われる一方です。

 

 

これでは庶民が困窮していく一方なのは

目に見えています。

 

 

日本がゴッサムシティのようになる日も

遠くはないように感じます。

 

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実際他国では民衆によるデモや

暴動は激化しています。

 

最近では中国(香港)チリ(サンディエゴ)

などがそのような状況にあります。

 

そんな社会の中で、人々の不満や苦悩

形となったのがジョーカーなのです。

 

 

人々はこんな社会を

一度リセットしてくれるカリスマ

を必要としているのかもしれません。

 

 

 

それはさておき、

 

社会的弱者辛い人生

歩んできたジョーカー(アーサー)に

感情移入しない人はいるのか、

 

と思えるほど

この映画を観ている観客は

惹かれていくはずです。

 

 

心がだんだんジョーカーの

味方していくようになり

 

観客は次第に彼の行動を

肯定していくようになります。

 

 

それが例え殺人であったとしても。

 

 

 

地下鉄でサラリーマン3人を

撃ち殺すシーンでの

カタルシスがあまりに見事で

 

殺人を肯定してしまっている

自分がいました。

 

 

直後にその自分にハッとし、

と同時に得も言われぬ寒気

恐ろしさを感じました。

 

 

大衆を扇動せしめようとする人間に

同調しかけるのみならず

 

進んで肯定してしまうような

心情を抱かせるような

危険な映画であることを

その時に初めて気が付きました。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20191023155811j:image

 

しかし、このジョーカーに

同調してしまうような

 

社会の雰囲気

現状日本ではびこっていることも

改めて認識することが出来たのです。

 

 

自分でも気づかないうちに

そういった社会から

ストレスを感じているのでしょう。

 

 

誰かが笑っていても誰かが泣いている。

顔で笑っていても心で泣いている。

 

 

この閉塞的冷たく理不尽な世界

解放する手段はないのでしょうか。

 

 

ジョーカーの笑いながら流す涙

私は共感にも近い同情の涙を流しました。

 

 

 

9.最後に

 

この映画は本当に

様々な問題提起をしてくれる

啓蒙的意味合いを含む

作品であると思います。

 

 

まだご覧になっていない方は

是非一度ご覧になることをお勧めします。

 

 

この作品の持つ意味合いが

わからなかったとしても

 

主演のホアキンの圧巻の演技や

洗練されたサウンド、このサウンドと

映像、シナリオとの絶妙なマッチング

カメラワークの巧みさなど

 

素晴らしい要素は盛りだくさんです!!

 

 

ご覧になったかたは今度一緒に

タバコでも吸いながら

語り合いませんか……。

 

 

 

というわけで以上です。

まだまだ書き足りませんが

今回はこのくらいで。

 

 

最後までお読みいただき

ありがとうございました。

 

 

 

ダークナイト (字幕版)
 

 

 

バットマン (字幕版)

バットマン (字幕版)

 

 

 

 

 

 

【夢とこの世】インセプション


皆さんいかがお過ごしでしょうか。

にわか映画研究所、所長でございます。

 

今回取り上げる作品はこちら!

 

『インセプション』

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190927203810j:image

 

映画としての構造は

かなり複雑

一回だけではなかなか

理解し辛い部分のある映画です。

 

 

そのためレビューも少し

複雑で、分かりづらい部分も

あると思います。

 

 

というか

難しくて

ぜんぜんまとまってません!!笑

レビュアーとして

情けないです、、、、笑

 

 

僕はこういう

「考えさせられる」

映画が大好きなので、

 

 

是非皆さんにも

観賞していただきたいです。

 

 

それではレビューをご覧ください。

 

 

 

 

1.監督

 

 

監督はクリストファー・ノーラン。

 

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イギリス出身の映画監督で

これまで

 

『メメント』

『ダークナイト トリロジー』

『インターステラー』

『ダンケルク』

 

といった作品を残しております。

 

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映画界、映画ファンの中では

必ず話題に上がるような名作

を数々制作してきたノーラン。

 

 

IMAXを初めて長編映画で

使用した監督ではありますが、

 

あまり最先端技術には興味がないようです。

 

 

『ダークナイト』では

 

 

ジョーカーがビルを

丸ごと破壊するシーンを

CGを使わず

本物のビル本当に爆破

撮影しました。

 

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190927203848j:image

 

※このシーンですが、1テイクのみ

 撮影しか無理な状況で

 爆破にタイムラグが起きるハプニング

 ジョーカー役のヒース・レジャーのアドリブなど

 一瞬に見どころがたくさん詰まっておりますので

 是非一度チェックしてみたください。

 

『インターステラー』で使われている

一部の地球の映像は、実際に

ジェット機の先端IMAXカメラを取り付け

成層圏を撮影したものだそうです。

 

タランティーノ監督とはまた違った方向で

CGではなくリアルな映像への

こだわりがあるノーラン監督。

 

 

インターネット嫌いを公言しており

パソコンや携帯電話といったものを

想起させるものが登場しない作品もあります。

 

 

2.キャスト

 

主演はレオナルドディカプリオ。

今作は産業スパイ役を演じます。

 

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私のレビューによく登場するディカプリオ。

 

私はディカプリオのことが好きなのでしょうか、、、笑

 

どの作品でも間違いない演技を見せてくれる

ディカプリオ。

やはり演技の天才です。

 

他にはノーラン監督作品おなじみの

俳優たちが名を連ねます。

 

更に、サイトー役に我らが渡辺謙が。

 

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ノーラン監督作『バットマンビギンズ』に

次いでの出演であり、

 

直接ノーラン監督から

電話で出演依頼を受けています。

 

 

 

 

3.あらすじ

 

ドミニク・コブ(通称コブ)アーサー

標的の無意識に侵入するという

軍の実験段階の技術を用いて

 

標的の夢から重要情報を引き出す、

「引き出し人」と呼ばれる

産業諜報員(産業スパイ)だった。

 

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ところが、今回の標的であった

日本人実業家サイトウは、

 

コブが、

標的の無意識にとある考えを植え付ける

インセプションと呼ばれる

遂行困難な仕事をこなせるか試した

というのだ。

 

 

病気で余命いくばくか、の競争相手

モーリス・フィッシャーが経営する

企業を破滅させるため、

 

 

サイトウはコブに

モーリスの息子にして

後継者であるロバート

父親の会社を解体させるよう、

納得させることを依頼する。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190927204058j:image

 

サイトウは、その見返りとして

コブの、妻を殺したという

殺人容疑を取り消すこと、

 

 

コブが子供たちの待つ

家に戻るために影響力を

行使することを約束した。

 

 

コブは依頼を引き受け、

口達者な「なりすまし人」イームス、

 

夢を安定させる強力な

鎮静剤を調合するユスフ、

 

亡き妻の父である

ステファン・マイルズ教授の

助けで勧誘した、

 

夢の中に設置する

迷宮を設計する建築学科の学生

アリアドネ。

 

彼らを集め組織を組んだ。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190927204839j:image

 

アリアドネは、訓練で入り込んだ

コブの夢の中で

亡き妻モルがコブを妨害している

ことを知る。

 

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遂にサイトーの競合相手のモーリスが

シドニーで亡くなり、

チャンスが到来した。

 

 

コブたちは鎮静薬を投与して

ロバートの夢に侵入するため

 

 

ロバートをロサンゼルスまでの

飛行時間10時間の便に乗せた。

 

同じ便にチーム全員が乗り込み、

鎮静剤を使い夢に潜り込む。

 

 

そこには、コブの仕事を

監視したいというサイトーも

同行していた。

 

果たして「インセプション」、

夢の操作は成功するのだろうか。

 

 

 

4.インセプションにおける夢とは?

 

『インセプション』では

夢は一層ではなく

夢の中で寝る事

より深層に潜っていく、という

ルールになっています。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190929025540j:image

 

皆さんももしかしたら

「夢の中で夢を見ていた」という

感覚を味わったことが

あるかもしれません。

 

私は何度もあります。

 

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190929025409j:image

 

この夢の層に深く潜れば潜るほど

 

人の深層心理に潜ることになります。

 

この深い場所では

その人を形成した根源的出来事

原風景的なもの

過去のトラウマなど

 

多くの無意識化に落ちたもの

混在しています。

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190929024637j:image

 

逆に、この深層に

人為的に影響を与えることが

できれば

その人をコントロールすることが

できるのではないか…

 

ということがこの映画の

テーマになっています。

 

 

皆さまは「明晰夢」というものは

ご存知でしょうか?

 

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これは夢の「覚醒度」の高いものを指し、

夢を夢と認識できているものです。

 

訓練次第では夢の内容をコントロール

できるようになるケースもあります。

 

 

寝つきが浅い時などにはっきりと

夢を覚えているのは

その「覚醒度」が高く、

かなり明晰夢に近くなっているからです。

 

 

『インセプション』では

他人の夢に潜り込む際、

 

夢の主に、そこが夢であることを

伝えることは高等技術であり

ある種タブーとされています。

(主人公はそれを実行するのですが)

 

 

それは夢の覚醒度を上げること

他ならず

うまくいかなければ

夢の主に主導権を奪われ

潜り込みによる

情報の抜き出しなどは

失敗に終わるからです。

 

 

また、夢のに潜り込む際に

主人公達諜報員は鎮静剤を使い

強制的に眠ります。

 

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190929025520j:image

 

 

しかし、訓練が十分でないと

鎮静剤で夢に潜った場合でも

潜っている人間も

夢だと気づきません

 

実際、作中でアリアドネは

鎮静剤を使った睡眠でも

夢が夢であることに気づきません。

 

 

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この「明晰夢」の状態を維持するのは

それなりの訓練が必要であることが

わかります。

 

 

次に、

夢がコントロール可能に

なったなら人はどうなるのか。

 

 

なんでも思い通りになる世界。

そんなものが手に入ってしまったら。

 

 

その世界に溺れ、抜け出せなく

なる人も多いでしょう。

 

 

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更に、層になった夢の世界と

現実の世界を何度も行き来していると

 

 

ついには

この現実すらも夢なのではないか、

という思いすら芽生えてしまうかも

しれません。

 

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諜報員達はそれを回避するために

それぞれが、今を現実だと認識するための

道具を持っています。

 

 

主人公は小さなコマを常に持ち、

これを回し、

回りつづければ夢(現実ではありえない状態)

途中で止まれば現実だと

判断しています。

 

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話は飛躍しますが

、今この現実

あなた達が生きているイマが

夢でない保証はどこにもありません。

 

 

『マトリックス』の中にいるかも

しれませんね。

 

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少し難しい話になりますが

 

この世の全てのモノは

我々の認識すらもできないような

小さな粒で構成されています。

 

 

それは素粒子とよばれ

3種のクォークという

物質がそれにあたります。

 

 

 

これほどまでにシンプル

構造であれば

バーチャル技術で

構成されていたとしても

不思議ではありません。

 

 

なんて考え始めると

終わりはありませんが…

 

 

 

とにかく、そんな問題提起を

してくれるのが

『インセプション』なのです。

 

 

5,独自のルール

 

『インセプション』では

独自のルールで夢の解釈がされています。

 

それは時間の流れるスピードが

 

前の層の1/10だということです。

 

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これはおそらく

脳の情報の処理における

問題だと思いますが

 

 

例えば、

人は周りの情報を得るとき

 

何かモノを見て

それを認識

脳で分析し、

それを判断します。

 

 

この脳の分析の部分において

これが直感的であればあるほど

このスピードが速くなる

考えられます。

 

 

複雑な数式を見れば

分析に時間がかかりますが

 

 

熊に合えば「怖い」と思ったり

熱いヤカンに触れば「熱い」

 

直感的に、反射的に思いますよね。

 

 

それが無意識化にあるものであれば

より直感的に反射的に脳が

処理していくはずです。

 

 

それがより深層の無意識であれは

より直感的に、反射的に…

 

 

このループが繰り返される、と

いう解釈なのでしょう。

 

 

少々複雑ではありますが

私はこのように考えて

『インセプション』のルールを

理解しました。

 

6.じゃあ一体何がテーマなの?

 

これは既に書きましたが

 

「この現実は現実であるのか」

ということです。

 

 

これまで様々なアーティストや

クリエイター達が投げかけてきた

この問題。

 

 

果たして貴方はどの様に考えますか??

 

 

貴方が今生きる世界は

夢の中なのかもしれませんよ。

 

 

「死に戻り」してみますか…?

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190929030524j:image

 

 

以上で今回のレビューは終わります!

 

私は今を生きる事に必死なので

こんな事考えて悩んでる余裕はないです。笑

 

 

でもたまにはこんな

ファンタジックで

リアリズムな

思考になってみるのも

アリじゃないでしょうか?

 

 

 

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【おとぎ話の中だけでも】ワンスアポンアタイムインハリウッド

🎥ワンスアポンアタイムインハリウッド

 

 

 

皆さんいかがお過ごしでしょうか?

ニワカ研究所所長です。

 


今回取り上げる作品は

現在公開中のこちら!↓

 

f:id:niwaka_eiga_labo:20190919172637j:image


『ワンスアポンアタイムインハリウッド』

 


です!

 

 

 

 


🚨注意!!

今回のレビューは

⚠️ネタバレ祭り⚠️

なので、

まだご覧になっていない方で

 


ネタバレされたくない方は

先日書いた【予習編】から

ご覧下さい!⇩

 

niwaka-eiga-labo.hatenablog.com

 

 


詳細も前回記事に書いているので

知りたい方は

そちらをご覧下さい。

 

 

 

 


↓↓以下ネタバレ感想です!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1.感想 


あの結末、最高でしたね。

 


泣きました。

 

 

 

タランティーノ監督の

シャロンテート殺人事件に

対する思いが出てましたね。

 

 

 

ヒッピー達がクリフ(ブラピ)に

ボコボコにやられて

 

リック(ディカプリオ)に火炎放射器で

ボロボロの丸焦げになる姿は

 


グロテスクさもありましたが

非常に爽快でした。

 


若干のやりすぎ感はありましたが…笑

 

↓犬のブランディーも大活躍でした。笑

f:id:niwaka_eiga_labo:20190919173001j:image


でも、それはクリフにヤク入りタバコを

売りつけたヒッピーが悪いし…

 


容赦ない正義の執行

ちょっとびびってしまいました。笑

 

 

 

 


ヒッピー達がやられて

「やったぜ!」

ってなりましたし

 


それがきっかけで

リックとシャロンが知り合いになり、

 


「幸せな日々が続きましたとさ…」

 

という幕引きが

 

 

より本来のこの事件の虚しさ、悲しさ

浮き彫りになって

 


とても、とても

胸がキュッとなりました。

 

 

 

本当は惨殺されてしまった

シャロンテートと友人達。

 

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そんな人達を

 


「せめて映画中だけでも

 


おとぎ話の中だけでも

 


生かして幸せな日々を

 

送らせてあげたい。」

 

 

 

というタランティーノの

願いにも近い

思いドスン

伝わってきました。

 

 

 

だからこそ、映画のタイトルが

 

「ワンスアポンアタイムイン…」

「昔々、あるところで…」

 


なんだと思います。

 

 

 

そして、そんな彼らの日々を描く。

これがこの映画の目的なのです。

 

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この映画自体は

長尺ではあるものの

大きな展開の波がなく、

 


途中で少し疲れてしまった

人もいるかもしれません。

 

 

しかしこの映画の目的は

リックやクリフ、シャロンの

日常を描くこと。

 

彼らの日常を、まるで

傍観しているかのような

作りになっているのです。

 

 

 

そして、

「事件自体にシャロンを絡ませろよ」

「なんならシャロンに反撃させろ」

 

なんて思ってる人もいるかもしれません。

 

 

でも、シャロンがこの事件に

一切関係がない、という形にすることが

 

本来事件の被害者になる

必要のなかったシャロンを、

 

映画の中だけでも

 

ありのままのシャロンで

純真なままのシャロンで

 

いさせてくれるのだと思います。

 

 

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映画の中盤、シャロンが車で出かけている途中、

ヒッチハイクをするヒッピーを

車に乗せ、道中仲良く談笑し

お互い笑顔で別れるシーンがあります。

 

 

 

シャロンはヒッピーに対しても

偏見が無く周りに笑顔と

ハッピーを与えられる人物なのです。

(映画の中での話ですが。)

 

 

こんなシャロンが無残にも殺される所なんて

ましてやヒッピーに殺される所なんて

僕は見たくはありません

 

 

 

シャロンがヒッピーに暴言を吐いたり

反撃をしようとする姿も。

 

 

 

でも史実では

 

シャロンはお腹の子、共々

殺されてしまったのです。

 

これはもう

変えようのない事実なのです。

 

 

 

全く関係の無いシャロン

私欲に駆られた奴ら

殺される。

 

タランティーノはこのことが

悔しくて

悲しくて

どうしようもなかったのでしょう。

 

そんなタランティーノの気持ちを

しれただけで

僕は満足でした。

 

 

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2.見どころ①【ドライブ】

 

この映画の見どころの一つは

車、ドライブのシーンですね。

 

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冒頭の

クリフとリックのドライブシーン

クリフがハリウッドの街並みを

颯爽と車を転がすシーンなんて

超クールでした。

 

 

カメラアングル、街並みの再現、

サウンドのマッチ具合、、

最高の掴みでしたね。

 

 

3.見どころ②【ブラピ】

 

 

もう一つの見どころは

ブラピの肉体です。笑

 

 

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55歳とは思えないバキバキの体

あと5年で定年とは思えないスタイルと

アクション

 

 

リックの自宅のアンテナを直すシーンは

全く必要ないのに、

tシャツを脱ぎ

上裸になります。

 

 

ナイスファンサービス。

 

盲腸の手術痕がちらりと見えるのも

GOODです。

 

若いころのブラピにはなかった

大人の魅力でいっぱいです。

 

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必見。

 

 

4.最後に

 

というわけで、今回の

レビューは以上です。

 

史実を知っていると

とても「悲しい」

映画なんだってことが

わかってもらえましたか?

 

タランティーノの集大成。

 

何度見ても面白い映画です。

お時間ある方は是非。

 

⇩タランティーノの代表作達。

 是非一度ご覧ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【夢から醒めたら】マトリックス

🎥マトリックス

 


皆さん如何お過ごしでしょうか。

ニワカ映画研究所、所長でございます。

 

 

 

今回レビューするのは

『マトリックス』です!

 

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近所の映画館で

4DX上映をやっており

 

「久々に見るか〜♬」

 

とルンルンで鑑賞してまいりました。

 

 

 

いや〜やっぱり最高ですね、

マトリックス。

 


👇それではレビューをご覧下さい!

 

 


1.監督、スタッフ

 


監督は

アンディ・ウォシャウスキー

ラリー・ウォシャウスキー

の2人。

 

↓左がラリー

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ウォシャウスキー兄弟と呼ばれる彼ら。

 

大学を中退

大工業を営む傍ら

 

最初はコミックの制作を

していました。

 


後に脚本も書くようになりますが

最初に書いた『暗殺者』

脚本がディノ・デ・ラウレンティスに

よって購入され

1995年、ワーナーブラザースによって公開。

 


1996年『バウンド』

監督デビューを飾り

 


1996年、『マトリックス』

名声を勝ち取りました。

 


以降マトリックスシリーズの

制作に携わります。

 

 

 

 

 

 

このお二人ですが

ラリーは2009年前後、

アンディは2016年に

性転換手術をしており

 


現在、

ラリーはラナ

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アンディはリリー

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と名乗っています。

 

 

 

また、お二人とも

日本のアニメ、漫画、小説

の大ファンであり

 


『らんま1/2』村上春樹作品

大好きだと語っています。

 

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今作『マトリックス』も

日本のアニメ、漫画の

影響をかなり受けています。

詳しくは後述しますね。

 


更に、かなりのゲーマーで

あることも知られており

 

メタルギアシリーズの生みの親

小島秀夫氏とも交流が

あるそうです。

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製作はジョエル・シルバー

 

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過去には

『リーサルウェポン』

『ダイハード』

の製作にも関わるなど

 


派手な視覚効果を満載した

アクション映画を製作して

知られる人物です。

 


アクション指導は

ユエン・ウーピン。

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カンフー映画の武術指導に

おいてはかなりのキャリアを

持つ方です。

 


このカンフー映画の持つ

対人格闘技術

ワイヤーアクション技術

 


この『マトリックス』の

ヒットを皮切りに

 


ハリウッドでも取り入れられるなど

メジャーな技術として

広まっていくことになります。

 

 

 

2.キャスト

 


主演はキアヌ・リーヴス

 

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言わずもがな、超有名俳優ですね。

 


最近では

『ジョン・ウィック』シリーズに

出演しています。

 

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俳優業だけでなく

ミュージシャン

としても評価されており

 

バントのベーシストとして

CDのリリースをしたり

フェスに出演したりと

 

がっつり活動していた

ようです。

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世界的大スターでありながら

お金に全く執着がないようで

 


一瞬ホームレスと見間違うような

格好で目撃される事もしばしば。

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その貯まりに貯まったお金で

映画製作スタッフ全員

高級車をプレゼントした

という武勇伝もあります。

 

 

 

バイクが趣味で

実際に会社を作り

自社でバイクを製作。

 

そのバイクでレースにも

出場しています。

 

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マトリックスの撮影直前に

バイクで大事故を起こし

 
首にサポーターをしたまま

アクションの指導を受ける

キアヌの姿が

 

オフショット映像に

残っています。

 


更に、プライベートでは

とても紳士

 

電車で妊婦の方に

サッと席を譲っていた

という目撃談がある程。

 

(何故キアヌが電車に

乗っているのか、という

のは謎です。笑)

 


そんなお茶目紳士

ちょっと変な人?

キアヌですが、

 


幼少期は

両親の離婚により

各地を転々としたり

 

 

高校はグレて退学したりと

なかなか壮絶な人生

歩んでいます。

 

 

 

こんなキアヌリーヴスが

アクションに目覚めたきっかけは

なんと千葉真一

 

(海外では「サニー・チバ」名義で

活動されていました。)

 

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映画のプロモーションで

来日した際、千葉真一と

念願の初対面。

かなり感激していたそうです。

 

 

 

ヒロイン(トリニティー)役は

キャリー=アン・モス

 

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マトリックスシリーズ以外では

クリストファーノーラン監督の

『メメント』

出演していたのが

印象的です。

 


強くてクール

スマートで。

アクションも完璧にこなす

その姿。

 


必見です!

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モーフィアス役は

ローレンスフィッシュバーン。

 

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なんとこの方日本のアニメの

大ファンで、

 

監督のウォシャウスキー兄弟から

マトリックスの話を聞き、

 

『日本のアニメの

ライブアクション版だ』と言われ

飛びついていきました。

 


好きなアニメは

『AKIRA』

『攻殻機動隊』

『獣兵衛忍風帖』

『北斗の拳』

『クライング・フリーマン』

『妖獣都市』

なかなか渋め

ラインナップ。

 

 

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ちゃんとオタクなんだなと

わかりますね。笑

 

 

 

3.あらすじ

 
トーマス・アンダーソンは、

大手ソフトウェア会社に勤める

プログラマー。

 

しかし、トーマスにはあらゆる

コンピュータ犯罪を起こす

天才ハッカーネオという、

 

もう1つの顔があった。

 

 

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平凡な日々を送っていたトーマスは、

ここ最近、起きているのに

夢を見ているような感覚に

悩まされ

 

「今生きているこの世界は、

もしかしたら夢なのではないか」

 

という、漠然とした違和感

を抱いていた。

 

しかしそれを裏付ける確証も得られず

毎日を過ごしていた。

 


ある日、トーマスは

 

「起きろ、ネオ(Wake up,Neo.)」

 

「マトリックスが見ている(The Matrix has you.)」

 

「白ウサギについて行け(Follow the white rabbit.)」

 

という謎のメールを受け取る。

 


ほどなくしてトリニティと名乗る

謎の女性と出会ったトーマス。

 

 

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トリニティの仲間のモーフィアスを

紹介され

 

「あなたが生きているこの世界は、

コンピュータによって作られた仮想現実だ」

 

と告げられ、

このまま仮想現実で生きるか、

現実の世界で目覚めるかの選択を迫られる。

 

 

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日常の違和感に悩まされていた

トーマスは現実の世界で

目覚めることを選択する。

 


次の瞬間、トーマスは

自分が培養槽のような

カプセルの中に閉じ込められ、

身動きもできない状態

であることに気づく。

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トリニティたちの言ったことは

真実で、現実の世界はコンピュータ

の反乱によって人間社会が崩壊し、

 

人間の大部分はコンピュータの

動力源として培養されていた。

 


覚醒してしまったトーマスは

不良品として廃棄されるが、

 

待ち構えていたトリニティと

モーフィアスに救われる。

 

 

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トーマスは、モーフィアスが

船長を務める工作船

「ネブカドネザル号」の仲間

として迎えられ、

 

ハッカーとして使っていた名前

「ネオ」を名乗ることになった。

 

 

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モーフィアスはネオこそが

コンピュータの支配を打ち破る

救世主であると信じており、

 


仮想空間での身体の使い方や、

拳法などの戦闘技術を習得させた。

 

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人類の抵抗軍の一員となったネオは、

仮想空間と現実を行き来しながら、

 

人類をコンピュータの支配から

解放する戦いに身を投じていく。

 

 

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4.感想、考察

 

 

 

SF映画の頂点です。

 


やばすぎますね。ホント。

 


私自身『攻殻機動隊』が

大好きなのですが

 

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首〜後頭部にプラグを差し、

電脳世界に入る

 


なんて正に攻殻機動隊ですね。笑

 


トリニティがだんだん

草薙素子に見えてきます…。笑

 

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攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Blu-ray Disc BOX:SPECIAL EDITION (特装限定版)

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機械によって飼育された

人間たちの入っているカプセル。

そこから目覚め、プラグを外し

現実世界に放たれる様。

 


これは母体、出産などの

メタファーですね。

 

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まるで羊水のような液体に満ちた

飼育機という母胎から

 


ヘソの緒のようなプラグを外し

 


子宮から下界へ

産み落とされる。

 

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この『マトリックス』の

世界では

 

現実世界では

人間は機械との戦いに

敗れており

 


人間にとっては

辛く、苦しい毎日が

強いられます。

 

 

 

それに対して

電脳世界では

それぞれがそれなりに

幸せな生活を送り

 


豊かに暮らしています。

 

 

 

実際、現実社会に生きる我々は

日々何かにストレス

生き辛さ、息苦しさを感じ

生きていると思います。

 


「あの頃は幸せだったな」と

過去を想ったり

 

「あんな風になれればな」と

理想を想ったり

 

形のない幸せ

私達はすがってしまうのです。

 


その最終形態が、胎内回帰

 

母の胎内で、現実世界を知らず

ただ無償の愛を受け

苦しまず生きたい……。

 

 

 

電脳世界=母胎

 

と考えれば

 

 

 

「電脳世界に戻りたい」と

仲間を殺したサイファーの

感情は正に

胎内回帰だと思われます。

 

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サイファーのような

感情に陥る可能性のある

現代人は本当に沢山

いると思います。

 


しかし我々は

辛く苦しい現実

 


真に自由な現実

 


生きていくしかないのです。

 

 

 

今貴方が見ている世界は

本当に現実と言えますか?

 


多くの歪められた情報

国民性、地域性による

マインドコントロール

思い込み偏見も。

 


それら全てが貴方が世界を

見る時のフィルターとなり

 


偽物の世界を見せるのです。

 

 

 

そこから抜け出すためには

 


確固たる自身の確立

大衆心理への懐疑

情報のファクトチェックetc…

 


沢山の手段があります。

 

 

 

貴方が誰に依存するのでなく

真に「自分」としての

視線を持つことで

 

漸く

貴方の前に、本当の世界、

現実世界が姿を現します。

 


自らを「解放」しましょう。

 

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5.映像技法、VFX.SFX

 


VFX”は

撮影に施される映像技法で、

 

現代のアクション映画やSF映画では

必ずといっていいほど使用される、

 

CGや合成を用いて映像を

加工することを指します。

 

 

『マトリックス』は、

これまで見ることができなかった

拳銃の弾道を、CGで可視化した作品

“VFX”効果の可能性

見せつけた一作です。

 

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更には

 


「バレットタイム」という

撮影手法を用いました。

 


これは被写体の周囲に

カメラをたくさん並べて、

アングルを動かしたい方向に

それぞれのカメラを順番に

連続撮影していき、

 

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被写体の動きはスローモーションで

見えるが、カメラワークは

高速で移動する映像を撮影する技術です。

 


また、並べたカメラを一斉に

同時撮影すると、被写体は

静止ないし低速で

動作した状態でカメラアングルが

動く映像が作れます。

(『マトリックス』で、

ネオが足に弾丸を受けるシーン)

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マトリックス以前にも

セルアニメでは類似する

表現技法が存在しており

 


もっとも早期なものが

1967年の『マッハGoGoGo』です。

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このアニメのオープニング映像で

そのシーンを確認することが

できます。

 

 

 


「バレットタイム」は

マトリックスで話題を呼び

世界的に広まっていきます。

 

 

 

しかしこの技法にも

デメリットがあります。

 


それは

膨大な時間

膨大な機材

必要になることです。

 

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更に

現場での柔軟な

変更が難しく、

 


撮影はかなりの労力

要するものでした。

 

 

 

それもあってか、

『マトリックス』シリーズでは

2作目以降、

 

俳優の全身をスキャンし

データとして取り込み、

 

映像編集の際に

画面にCGとして

再構成させる、という

手法がとられることに

なりました。

 

 

 

6.アクション

 


今作は

カンフー映画

インスピレーションを

受け、アクションシーンでは

それに酷似した表現、

 

主にブルースリー、ジェットリー

の影響を受けている様に

感じられる箇所が

沢山あります。

 

 

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アクション指導が

ユエンウーピンであることから

その土台はしっかりしています。

 

 

 

前半の戦闘訓練のシーンは

もろにカンフー映画

そのものですね。

 


モーフィアスの

 

「考えるな、感じろ」

 

はブルースリーの

『燃えよドラゴン』の

オマージュです。

 

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『マトリックス』では

戦闘においての強さは

 


単純な肉体の強さではなく

 


訓練(修行)をしっかり積み

世界の真理に到達すること

 

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が重要になります。

 

 

 

ネオが後半、覚醒

強くなったのも

世界の真理に到達した

からかと思われます。

 


このロジックも

まさにカンフー映画的

ですよね。笑

 

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マトリックスは映像技術だけでなく

アクションも

かなりハイクオリティ

評価されている部分です。

 

 

 

 

 

7.豆知識

 

 

 

エンディングで流れる曲は

Rage against the machine

『wake up』

 

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もともと私はパンク好きだったので

この曲流れた瞬間、

「おお!」となりました。笑


監督のウォシャウスキー兄弟は

この曲を聴きながら

脚本を書き進めたそうです。

 


是非チェックしてみて下さい。

マリリンマンソンの

「rock is dead」も

かなりイカしてます。

 

 

更にこの『マトリックス』や

『攻殻機動隊』のもととなっているのが

ウィリアムギブソン著の

『ニューロマンサー(1984)』です。

 

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ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

ニューロマンサー (ハヤカワ文庫SF)

 

 

設定や世界観、人間相関も

かなり近いものがあるので

是非チェックしてみて下さい。

 

 

8.最後に

 

 

今回のレビューは以上です!

映画の内容自体が

かなり肉厚で濃厚なため

次第と書く量も多くなり……笑

 


でも詳細を知らずにみても

めっちゃめちゃ面白い映画である

ことは間違いありません!

 


是非一度ご覧下さい!

 

鑑賞済みの方も

もう一度見ると

新たな発見があるかも

しれませんよー!

 

マトリックス (字幕版)