ニワカ映画研究所

映画鑑賞にはまり始めてはや数年、、日々鑑賞した映画をニワカ知識なりにレビューしていくブログです。公開中のものから過去作も!面白い映画を探す参考にしてください。

【絶望の連鎖】セブン/SE7EN

🎥セブン/SE7EN

 

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今回はサイコサスペンスの傑作、「セブン/SE7EN」のレビューです!

今作は全米興行成績4周連続1位に輝いた大ヒット作でありかなり評価の高い作品です。

 


⚠️ネタバレを含みますので

まだご覧になっていない方で

前情報入れたくない人はブラウザバックお願い致します🙇‍♂️

 

 

 

公開は1995年。

監督はデヴィッドフィンチャー

先日レビューした「ファイトクラブ」等様々な作品を残した監督である。

今作は、前作「エイリアン3」が不振に終わり

意気消沈していたフィンチャー

これは素晴らしい脚本だ!と惚れ込み

映像化したものである。

脚本はアンドリューケヴィンウォーカー。

セブンの脚本は彼がニューヨーク在住時感じた鬱屈した感情を元に書き起こしたものである。

 


キャストは

デビッドミルズ役にブラッドピッド。

妻ミルズ役にグウィネスパルトロー。

ウィリアムサマセット役にモーガンフリーマン。等…

 


ブラッドピッドは今作では田舎町から都会に配属された新米刑事を演じる。

この刑事は若手ならではのエネルギーとパッションに溢れ、理性でなく感情で動こうとする。

その若さ、危うさを巧妙に演じ切っており

クライマックスの苦悶と激怒の入り混じった表情は映画史に残る凄まじさを感じる。

 

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グウィネスパルトローといえば、アイアンマン

トニースタークの秘書兼妻のペッパーポッツ役としても有名である。

今作もその美貌と、若干の幸薄さ…が演技のいいアクセントになっている。

 

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モーガンフリーマンは私の中ではやはり「ショーシャンクの空に」のイメージが強い。

今作では還暦間近の敏腕老人刑事を演じる。

思慮深く理性的で、その瞳はこの世への絶望に満ちている。

この役はモーガン・フリーマンのもつスキルやキャリアが無ければ

演じ切ることは難しかっただろう。

 

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雨の降り続く大都会。

退職まで残り1週間と迫ったベテラン刑事サマセットと血気盛んな新人刑事ミルズは

ある死体発見現場に急行した。

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死体は信じられないほど肥満の男であり

彼は食べ物の中に顔を埋めて死んでいた。

死因は食物の大量摂取とその状態で腹部を殴打されたことによる内臓破裂

 

状況から、何者かによって手足を拘束され、銃で脅されながら食事を強制されていたことが判明し、殺人事件と断定される。

 

サマセットは死体の胃の中から発見されたプラスチックの破片から

現場の冷蔵庫の裏に、犯人が脂で書いたと思われる「GLUTTONY(暴食)」の文字と

事件の始まりを示唆するメモを発見する。

 

次の被害者は強欲な弁護士のグールドであり

彼は高級オフィスビルの自室で血まみれになって殺されていた。

 

死体はちょうど贅肉の部分を1ポンド分切り落とされており

状況から犯人は2日かけて被害者にどこの肉を切るか選ばせていたと推定された。

 

現場には被害者の血で「GREED(強欲)」の文字が残されており

サマセットは、犯人が「七つの大罪」をモチーフにして殺人を続けていると判断する。

 

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以降毎日計画的且つ猟奇的に惨殺された死体が見つかり

その現場には同じく七つの大罪に関連するメッセージが残される。

 

サマセットの推理から一度は犯人の居場所を突き止めるものの

取り逃がす二人。

「七つ」のうち残りが後二つに迫ったところで

犯人からメッセージが送られる。

 

サマセットとミルズのみに次の死体のありかを教える。そこまで連れていけ。

 

何かある、罠だ、と分かったうえで犯人を現場に連行する二人。

そこで二人は究極の選択を迫られることになる。

 

 

 

 

今作で重要なキーワードとなる「七つの大罪」。

七つの大罪とはキリスト教カトリックにおける概念で

堕落した人間が犯すとされる“全ての罪の根源となるもの”のことだ。

カトリックでは「罪源」と呼ばれ、罪そのものというよりも、罪を誘発する悪しき習性といった方が近いだろう。

罪を罪として意識しにくい故に、神への甚だしい冒涜となるのだ。

・嫉妬(envy)

他人の幸福を妬み、他人の不幸を喜ぶ感情。

・高慢(pride)

過度に自惚れていること。美徳とされる「謙遜」の真逆の状態。

・怠惰(sloth)

元々は安息日に関わらず労働を続けることを指していたが、現在では労働を放棄して怠けていることを指す。

・憤怒(wrath)

人間の最もネガティブな感情のひとつ。怒りは理性を破壊し、魂の中に悪魔を迎え入れることだとされている。

・強欲(greed)

金銀など財産に対しての異常な物欲。聖パウロは「一切の悪事の根なり」と説いたとされる。

・肉欲(lust)

色欲、邪婬ともいう。子孫繁栄のためではなく、みだらに性的快楽に陥ることは禁忌とされる。

・暴食(gluttony)

もしくは「大食」。節制のない食事は、欲望を助長させる根源となる。

 

 

我々は日々の暮らしの中でこの七つの大罪を犯してはいないだろうか。

 

犯人はこの神への冒頭にあたるこれらの罪を犯す人々をターゲットにしていく。

 

そして最後は自身をもその罪を犯したとし

死ぬことを選ぶ。

 

その罪は嫉妬。

ミルズへの嫉妬である。

ミルズの家庭を羨み犯人は遂に取り返しのつかない犯罪を犯す。

 

 

ここでミルズは究極の選択をする。

犯人を殺すか、

犯人を生かすか。

 

犯人を殺すことは恨みを晴らし、仇を討つことができるものの

犯人の策略に全てハマることになってしまう。

しかし生かせば……

 

 

「おお!神よ!」

 

悶え、叫び、苦しみ、葛藤し、激怒するミルズが

出した結論とは…。

 

フラッシュバックする幸せ。

 

ミルズは全ての感情を捨て去り

正義を執行することを選んだ。

 

 

サマセットにはもう止めることすらできなかった。

 

 

 

サマセットはミルズとは正反対の

理性的判断のできる人間である。

様々な分野に精通し、今回は犯人が傾倒する

宗教的思想を調査し理解することで推理を進めた。

ミルズは自分に、世界に希望を見出しているものの

サマセットは反対に世界の不条理さに絶望をしている。

そしてサマセットはミルズとは反対に性悪説的な思想を待つ。

 

そのためサマセットは、犯人を調査する中で

ある種共感できる何かが見えていたのではないだろうかと感じる。

 

しかし彼自身、まだこの世には戦う価値がある、

と考えているからこそ正常に立ち振る舞うことができているのだろう。

 

 

 

例え行きつく先が絶望だとわかっていても

人は生きていかなければならないのだ。

 

 

 

さて、今作では映像技術の一つとして

「銀残し」という手法が用いられている。

 

銀残し(ぎんのこし)とは、フィルムや印画紙での現像手法の1つ。

本来の銀を取り除く処理をあえて省くことによって

フィルムや印画紙に銀を残すものである

 

この作業により映像の暗部が非常に暗くなり

画面のコントラストが強くなるので

引き締まった映像になる。

また、彩度の低い渋い色にもなる。

 

この手法は日本で生まれたものであるが

これまで世界中に広く使われた。

 

私が「銀残し」と聞いて思い出すのは

1999年TBSにて放送のドラマ「ケイゾク」である。

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このドラマはのちに「SPEC」として続編が制作された。

恐らくケイゾクはこの「セブン」の影響を大いに受けていると考えられる。

未視聴の方は是非一度見ていただきたい。

 

コントラストの強い映像に、ノイズを用いたサウンド、シリアスかつダークな雰囲気。

そしてフィンチャーお馴染みのサブリミナル。

 

「セブン」フィンチャーの魅力がこれでもか!と詰まったボリューミーな作品となっている。

 

 

と言った感じで今回のレビューは以上です!

いや〜デヴィッドフィンチャーはやっぱり面白いですね〜。

人の根底にズシっとのしかかるメッセージを残してくれる作品は見た人を豊かにさせていきますよね!

何度見てもいい映画です。

お時間ある方は是非…